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 第2山田丸引き揚げへ  沈没原因解明に全力を

 今年1月、五島市沖で沈没し、乗組員10人が行方不明になっている以西底引き網漁船、第2山田丸(113トン)の船体を引き揚げる方針が決まった。

 船主の山田水産(長崎市、山田浩一朗社長)が12日、発表した。6月初旬には引き揚げを実現し、船内捜索にこぎつける予定。引き揚げは乗組員家族が強く願っていたものだけに、同社の決定を歓迎したい。

 また、今回の遭難の原因は、まだ全く分かっていない。このような悲惨な海難事故の再発を防止するためには、沈没原因の解明が不可欠だ。引き揚げた船体の調査を通じて、原因解明が進むことを期待する。

 第2山田丸は1月12日午前4時ごろ、航行中の五島市沖で突然、沈没。船長の股張保さん(49)、機関長の満尾幸人さん(60)、甲板長の大道義人さん(54)、甲板員の今宮孝さん(58)の日本人4人=年齢は事故発生当時=と、中国人6人の乗組員計10人が全員、行方不明になった。

 沈没直前に股張船長から僚船に「甲板に波がかぶった」との連絡があったことから、大波を受けて沈没したとみられる。だが、それがどのような大波で、大波を受けたことがなぜ、沈没につながったのか、など詳しい原因は不明のままだ。

 一瞬のうちに沈没したことから、不明者は船内に取り残されている可能性が強い。船体引き揚げが、不明者の船内捜索と事故原因の解明を実現するために、必須の課題となっていた。

 本県では昨年4月に平戸市沖で巻き網漁船、第11大栄丸(135トン)が沈没し、乗組員12人が死亡・行方不明になる事故があり、9月に水深85メートルの海底から船体を引き揚げている。

 だが、第2山田丸は水深約150メートルと、第11大栄丸の倍の深さの海底に沈んでおり、現場海域の気象条件も厳しいことから、引き揚げが技術的に可能かどうかの判断が難しかった。

 山田水産は専門会社に調査を依頼。2月に「可能」との報告があったため、引き揚げを決定した。悲しみに暮れる乗組員家族は決定を聞いて、かすかに安堵(あんど)の表情を見せた。

 引き揚げは、第11大栄丸引き揚げを担当したサルベージ会社に委託する。4月に現場海域の再調査を実施した後、5月中旬に作業に着手。6月初旬には台船上に引き揚げて、船内捜索と事故原因調査を行う予定。費用は船主責任保険が適用される。作業の着実な実行を望みたい。

 本県では漁船の重大な遭難、沈没事故が後を絶たない。▽1993年、巻き網漁船、第7蛭子丸(19人不明)▽同年、巻き網漁船第21金光丸(9人死亡)▽97年、以西底引き網漁船、第18長運丸(10人不明)、そして昨年の第11大栄丸に、今年の第2山田丸。極めて深刻な事態である。

 漁船の安全操業が確保できなければ、水産県長崎の旗は守れない。原因解明と再発防止策の徹底に、直ちに、全力で取り組まなければならない。(高橋信雄)


(2010年3月14日長崎新聞掲載)


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