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 「核密約」公式確認  国民への重大な背信行為

 日米4密約問題を調査していた外務省有識者委員会(座長・北岡伸一東大教授)が、日米安全保障条約改定時(1960年)の核持ち込み容認密約など、三つの密約が存在したと認める報告書を、岡田克也外相に提出した。

 日米間の密約は、既に米公文書や米政府元高官の証言で明らかになっていたが、日本政府は「密約はない」と否定し続けてきた。だが、同報告書によって、歴代自民党政府が国民にうそをつき続けてきたことが明白になった。

 そのうそが、核兵器の持ち込みを認めるか否かという国家の安全保障の根幹にかかわる、国民にとって最大級の関心事について、国民の目から事実を隠そうと意図的につかれたものであるだけに、ことは重大だ。

 しかも、政府は非核三原則を国是として掲げた上に、あたかも、その三原則が守られているかのような虚偽の国会答弁を繰り返して、国民にうそを信じ込ませようとしてきた。事実を隠ぺいするだけでなく、事実と正反対のうそを、政府が国民にことさらに信じ込ませようとしてきたという点で、政府は国民に対して二重の背信行為を重ねてきたと言わざるを得ない。核問題という極めて重大な領域で、わが国の民主主義が否定され続けてきた現実を、あらためて深刻にとらえる必要があるだろう。

 有識者委員会の報告書は、日米安保改定時の核持ち込み密約と、朝鮮半島有事の日本からの米軍出動をめぐる合意、沖縄返還時(72年)の原状回復費肩代わり、の三つを密約と認定。沖縄返還決定時(69年)の沖縄核再持ち込み合意については政府内で引き継がれていなかったことなどを理由に認定しなかった。

 このうち、核持ち込み密約の公式確認は、被爆地長崎と、米海軍基地がある佐世保を抱える本県に深刻な波紋を広げている。

 核兵器廃絶を願う長崎の被爆者は、被爆国日本が核廃絶の先頭に立つべきと訴え、非核三原則の堅持をその重要な一歩と考えてきた。ところが、密約の確認で、「三原則堅持」は虚構にすぎず、ほかならぬ被爆国日本の政府自らの手によって踏みにじられていたことが明白になった。被爆地の受けた衝撃は大きい。

 また佐世保では、核兵器を搭載した艦船が入港していた疑いが強まった。政府は「米側から事前協議の申し入れがない以上、核持ち込みはない」と主張し続けてきたが、密約確認によって、それが虚偽答弁であったことが明白になった。岡田外相も「可能性を否定できなくなった」と述べ、米艦船寄港地に核が持ち込まれていた可能性を認めた。

 現在は、米艦船から戦術核が撤去されているとされ、米艦船入港が核持ち込みにつながる恐れはないとみられる。だが、将来、有事の場合や米戦略が変更された場合には、再び、核が持ち込まれる恐れがある。そのような事態を防ぐために、非核三原則の法制化を急ぐべきだ。(高橋信雄)


(2010年3月10日長崎新聞掲載)


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