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 県内自殺防止対策  きめ細かな相談体制強化を

 全国で毎日100人もの人々が自殺で命を失っている異常事態に歯止めをかけようと、政府は自殺者が特に増える3月を「自殺対策強化月間」と定め、さまざまな自殺防止の取り組みを進めている。

 本県も、生活困窮や病気などを苦にして毎日1人以上が自殺している計算となる深刻な状況が続いている。だが、これまでの研究から、自殺に追い込まれようとしている人に対して、周囲が適切に救いの手を差し伸べさえすれば、自殺を防ぐことは可能であることが解明されている。「自殺は防止できる」。その確信に基づき、地域社会全体で、きめ細かな自殺防止対策を着実に推進していきたい。

 政府によると、わが国の自殺者は1998年以降、12年連続で毎年3万人を超えており、昨年は約3万3千人に上った。一向に減る気配がない。

 このうち本県は毎年400人前後で推移しており、昨年は401人。やはり、改善の兆しは見えない。自殺者の年代は40代から60代にかけての中高年が大半を占め、原因は経済・生活問題、健康問題が多い。

 こうした危機的状況の改善を図ろうと、政府は2月、自殺総合対策会議で「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を策定した。

 同プランは、自殺を「追い込まれた末の死」ととらえ、自殺を考え始めた人が本当に死に追い込まれてしまう前に、周囲から迅速、適切に救いの手が差し伸べられる体制を整える必要性を強調。(1)社会全体で対策に取り組む(2)悩みを抱えた人への相談・支援の体制を拡充する(3)自殺者の遺族の支援強化−など9項目を挙げて、国民運動として取り組む方針を掲げた。

 また、月別の自殺者が最も多くなる3月を「自殺対策強化月間」とし、自殺防止キャンペーンを一段と強力に進めている。

 本県では、2007年に県自殺対策連絡協議会(会長・小澤寛樹長崎大大学院教授)が発足。医療・福祉・保健、教育、商工・労働、警察、地域団体など幅広い関係者が参加して、本県独自の対策を練り上げ、次々と実行に移してきた。

 特に、身近な所に相談窓口を多数設置し、専門知識を持った相談員が対応できる体制づくりに努力。相談員向けに、経済・生活、健康問題など相談内容別の専門的な「対応手引き集」(7巻)を発行したほか、弁護士会、司法書士会、消費生活センター、看護協会の協力で、多重債務者を対象にした法律相談やメンタルヘルスの実施に重点的に取り組んでいる。

 3日に開かれた同協議会では、悩みを抱えた人々に相談・支援の手を積極的に差し伸べていく「ゲートキーパー」の増員、1カ所で多様な相談に応じることができる「ワンストップ相談窓口」の拡充など、きめ細かな対策を一層、推進していく方針を決めた。きめ細かな対策には、多くの県民の参加が不可欠だ。力を合わせて、「命を守る」運動を進めたい。(高橋信雄)


(2010年3月7日長崎新聞掲載)


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