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 中村知事誕生  自分の流儀で新しい県政を

 任期満了に伴う知事選の投票が21日行われ、即日開票の結果、前副知事で自民、公明両党が支援した無所属新人の中村法道氏(59)が、他候補に大差をつけて当選した。

 中村氏と競り合った民主党など与党3党推薦で無所属新人の橋本剛氏(40)は、県内ほぼ全域で中村氏に離され、及ばなかった。

 金子原二郎知事が昨年11月に4選不出馬を表明したため、新人7人の候補で争われた。本県経済の低迷が続き、雇用悪化、中小企業の苦境、人口流出などに歯止めがかからず、かつてない危機感に包まれて行われた今回の選挙。この難局を打開し、県勢浮揚を目指すかじ取り役を誰に託すか。有権者の関心は高く、各候補は熱い論戦を繰り広げた。

 結果は、県職員、副知事としての経験と実績を誇り、「即戦力」をアピールした中村氏が幅広い支持を集め、知事の重責を任されることになった。県民の期待の大きさをかみしめ、頑張ってほしい。

 中村氏は、選挙戦の出だしこそ知名度不足に悩まされたものの、じわじわと浸透し、その人柄、実力に期待が集まるようになった。長崎新幹線建設促進、諫早湾干拓開門調査反対など、金子県政の基本路線は継承すると明言する中村氏に、自民、公明が県内地方組織をフル回転させて集票努力を続けた効果が大きい。

 とはいえ、中村氏は特定の政党の推薦や支持は受けず、自ら「県民党」を掲げて選挙戦を戦い、それを受け入れて投票した有権者も多い。そうである以上、中村氏は、あくまで公約通り、「県民党」の立場を貫くべきである。そのためには、金子県政の良い面は継承しつつも、同時に自分の流儀を堂々と通し、独自色を発揮して、新しい県政の創造に努める必要がある。中村氏は当選後の会見で「特定の政党に偏ることなく、多くの県民の声を真剣に聞いていく」と話した。その姿勢を堅持してほしい。

 今回の知事選は、昨夏衆院選で政権交代が実現して以降、九州初の知事選である上、小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」をめぐる問題で鳩山内閣支持率が下落する中で行われた大型選挙だけに、今夏参院選に向けての政治動向を占うものとしても注目された。

 ただ、この選挙結果は、中央政界の構図を当てはめて見るだけでは十分には説明できないだろう。民主党の候補者選びは本県選出の国会議員団が主導し、「脱官僚」を掲げる民主党が中央官僚を擁立するという、わかりにくい結果となった。民主党県連主導で、地元で実績のある人材を探して擁立すれば、少しは違った展開になったかもしれない。民主党に反省材料を残したと言えるのではないか。

 選挙戦全体の論戦は、「長崎を元気に」といったたぐいの抽象的スローガンばかり聞かれ、中身に乏しかった。問題は、それを実現するための具体的政策だ。充実した選挙をどう実現するか。県民全体の宿題として残された。(高橋信雄)


(2010年2月22日長崎新聞掲載)


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