
佐世保市の大型リゾート施設ハウステンボス(HTB)の経営再建問題で、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS、東京)が12日、地元の要望にこたえてHTB支援を引き受けることを正式に決めたと発表した。
HISは支援の条件について、地元佐世保市や県などと厳しい交渉を続け、一時は支援困難の姿勢に傾いていたが、11日までのぎりぎりの交渉で、一転、合意にこぎつけた。
HISの澤田秀雄会長は12日午前の臨時取締役会で支援決定を取り付けた後、同午後、HTBを訪れ、朝長則男市長、金子原二郎知事、松尾新吾九経連会長らと共に記者会見。今後、県、市や福岡経済界の協力を得ながら、HTBを必ず再建するとの決意を表明した。うれしい限りである。
HTBは本県観光、九州観光のけん引役として重要な役割を果たしており、まさに「九州の宝」(松尾会長)。そのHTBが最終的に破綻(はたん)してしまえば、地域経済に大打撃を与える。それだけに、なんとしても、この危機を克服し、HTBを存続させてほしいという願いは、県民共通のものとなっていた。
世界不況で観光業を取り巻く環境も厳しい中、あえてHTB再建という難しい課題への挑戦に乗り出したHISの決断を高く評価したい。また、HTB再建を「オール九州」の課題と位置付け、最後まで側面支援を惜しまなかった九経連、福岡経済界にも感謝したい。そして、HISに支援の決断を促すため、粘り強い交渉を続けてきた市と県の労もねぎらいたい。
これでHTB廃園という最悪の事態は回避され、「九州の宝」は守られた。あとは、この幸運を、いかに本県観光の飛躍につなげることができるかどうかだ。HTBを核にアジア全域から観光客を誘致できる魅力ある戦略を、本県経済界全体で練り上げ、団結して実行していく努力も求められることになるだろう。
HTBは1992年の開業以来、年間入場者400万人の目標を一度も達成していない。理由として(1)リピーターを引きつける魅力がない(2)入場料が高い(3)子どもを遊ばせる施設が乏しい−などが挙げられる。それは、庶民に「安く、楽しく遊んでもらう」という経営コンセプトに欠けていたことを意味していないか。
HTBは開業時、高価な別荘の分譲で初期投資を回収しようとしたが計画通りには進まなかった。バブル期なら金持ちはいくらでもいただろうが、バブル崩壊後の開業時には既に、こうした戦略は通用しなくなっていた。この当初コンセプトと現実のずれが、なお完全には修正されていないように見えてならない。
新生HTBは、再現されたオランダの街並みが醸し出す異国情緒を生かしつつ、同時に、国内外から足を運んでくれた入場者が「安く、楽しく」遊べて、帰るときには「もう一度、来たいね」と言い合えるような施設へと、自らを革新すべきである。(高橋信雄)
(2010年2月13日長崎新聞掲載)
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