
被爆地長崎の市民と行政、それに海外から招いた非政府組織(NGO)が結束して世界に核廃絶を訴え、その具体的方法を提言し続けている「核兵器廃絶−地球市民集会ナガサキ」の第4回集会が6〜8日の3日間、長崎市で開かれた。
同集会は、市民と県、市、長崎平和推進協が一緒に実行委を結成、2000年以降、3回開いている。4回目の今年は、オバマ米大統領が「核のない世界」を唱えたプラハ演説後、初の開催とあって、核廃絶の期待に満ちた集会となった。
しかも、5月に核拡散防止条約(NPT)再検討会議を控えているため、市民の立場から、同会議をいかにして成功に導くかが、特に熱心に話し合われた。
NPTは、米、ロ、中、英、仏5カ国の核保有だけを公認し、他の国の核保有は禁じることで、核拡散を防ごうという条約。5カ国には、条約第6条で核軍縮努力を義務付けているが、5カ国は義務を全く履行していない。限界のある条約だが、当面は、NPT体制を強化して核拡散を防ぐとともに、保有国に6条履行を迫って核廃絶に一歩でも近づくよう促すしかない。
集会では、長崎の声を直接、会議参加国や、世界中から会議に集まるNGOに伝えようと話し合った。
同時に、今回の集会では、NPT体制強化という当面の目標にとどまらず、核廃絶という最終目標に到達するための具体的プランを明示し、世界に向かって力強く提唱したのが特徴だ。
それは、核兵器禁止条約の締結である。NPT強化運動は、あくまで保有国に核廃絶努力を迫るという運動にならざるを得ず、保有国の姿勢が変わらない限り、前進が見込めない。しかもNPTには、5カ国以外の保有国であるインド、パキスタンなどが加盟していないのも弱点だ。
だが、すべての国に同じ条件で参加を呼び掛ける核兵器禁止条約なら、インド、パキスタンも参加しやすいとみられ、禁止という目標を全世界共通の土俵に上げることが可能となる。
また、非核保有国が、核保有国の動きを待たずに、直ちに禁止条約成立を目指す運動に取り組むことが可能で、核廃絶の運動が一気に広がる。非核保有国政府が世界中の市民と手をつなぎ、禁止条約成立にこぎつければ、その条約を盾に保有国に核放棄を迫ることができる。文字通り、地球市民が主導して核廃絶を達成する運動となる。
そうした地球市民に主導された軍備廃棄運動は、既に対人地雷禁止条約、クラスター爆弾禁止条約として結実しており、核兵器禁止条約も決して夢ではない。
NPT再検討会議の成功に向けて全力投球しつつ、さらに、その先を見据えて核兵器禁止条約運動にも着手すること。3日間の市民集会を通じて、地球市民の目標が鮮明に見えてきた。あとは実行あるのみだ。そのとき、被爆地長崎の世界に向けた訴えが、強い推進力となることは言うまでもないだろう。(高橋信雄)
(2010年2月9日長崎新聞掲載)
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