
長崎市の以西底引き網漁船、第2山田丸(113トン)が五島沖で遭難、乗組員10人が行方不明になってから1週間以上が過ぎた。
県の調査船が17日、遭難した海域の水深150メートルの海底で第2山田丸の船体を撮影。船主の山田水産(山田浩一朗社長)が確認し、同船が沈没したと発表した。
同社は、船体引き揚げが可能かどうかを探る調査を専門会社に委託し、24日から開始する予定。2月中旬に結論を出すという。
乗組員の家族らは船体の引き揚げを強く望んでいる。17日に家族と面会した山田正彦農水副大臣も、引き揚げに前向きの姿勢を示し、国が支援していく方針を約束した。現場海域は気象や海流などの条件が厳しく、困難も予想されるが、引き揚げの可能性がある限りは、その実現に向けて関係者が全力を尽くすべきだ。
沈没の原因も、まだ全くわかっていない。解明には船体引き揚げが不可欠だ。本県では重大な漁船遭難事故が相次いでいる。事故が起きても、犠牲者の収容もできず、原因も解明されないというのでは、漁船に乗り組むことをためらう人が増えるだろう。それでは本県水産業は衰退に向かう。水産長崎の旗を守るためにも、引き揚げの可能性を真剣に探るべきである。
第2山田丸は12日午前4時ごろ、航行中の五島沖で突然、沈没。船長の股張保さん(49)、機関長の満尾幸人さん(60)、甲板長の大道義人さん(54)、甲板員の今宮孝さん(58)の日本人4人と、中国人6人の計10人の乗組員全員が行方不明になった。
沈没直前に股張船長から、僚船、第1山田丸に「甲板に波がかぶった」との連絡があったことから、突然の大波を受けて沈没したとみられている。
ただ、それがどのような大波であったのか、大波を受けたことがなぜ沈没につながったのかは不明だ。さまざまな可能性が推測されてはいるが、船体を引き揚げて調べてみないことには手掛かりはつかめない。
同社は引き揚げ可能と判断した場合、船主責任保険を使って実行する考えで、家族と面会した山田副大臣も、同保険で引き揚げ費用が確保できるように国も支援すると約束した。
同保険は、昨年4月、平戸沖で沈没した第11大栄丸の引き揚げに際して、国の働き掛けで適用を進めた経緯がある。今回は、第11大栄丸が沈んでいた海底より倍近くも深いことなどから、費用も大きく上回りそうだが、なんとか、調達の道が開かれるよう望みたい。
作業を困難にさせる恐れがあるのは、自然条件の厳しさだ。冬場の同海域は荒天が多く、潮流も速い。サルベージ船を使った引き揚げが可能かどうか、まだわからない。実行するとしても、長期化の懸念がある。
ただ、困難はあっても、引き揚げ可能な場合は、なんとしてでも引き揚げるべきだ。それが家族の気持ちにこたえ、漁船事故を防止する重要な一歩となる。(高橋信雄)
(2010年1月21日長崎新聞掲載)
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