長崎新聞社 こどもパーク

2004年4月10日長崎新聞掲載

栄養満点おもちゃ グッド・トイ  親子の会話弾むものを


時間に余裕をもって、外遊びも楽しもう。自然に触れる機会を大切にしたい
 たくさんのおもちゃが街にあふれては消えていきます。おもちゃ屋さんに行くと、おもちゃがずらりと並んでいて、どれを選べばいいのか迷ってしまいます。わが子のものでなく、出産祝いなどの贈り物であれば、なおさら選ぶのは大変になります。

 おもちゃコンサルタントが中心となって活動している「NPO法人日本グッド・トイ委員会」では毎年、お薦めのおもちゃを「グッド・トイ」として認定しています。委員会は、子どもがおもちゃの消費者でなく愛用者になること、おもちゃの作り手と使い手の懸け橋になることを目指しており、委員や子どもによる選考会とモニター調査でグッド・トイを認定します。


「ティキ」(ネフ社、スイス。木製)出産祝いにお薦めのおもちゃ。日本の赤ちゃんのためにデザインされたもの。安全な素材を使用しており、なめても大丈夫
 選考は「反平和的なおもちゃでないこと」「ベストセラーよりロングセラーであること」「早期教育につながるものでなく、遊びを尊重してくれるおもちゃであること」の三つの方向性と、「よい音」「いろいろな動きをする」「適当な重さがある」「きれいな色」「形が美しくはっきりしている」「壊れにくい」「壊れても修理しやすい」「誰でも遊べる」の八つを大切にしています。おもちゃの箱などに認定マークが表示されていますので、おもちゃ選びの参考になります。

 おもちゃは子どもにとって単なるモノではなく、心と体の成長に欠かせない栄養になるものです。食にこだわる方は多いのですが、おもちゃに対しては適当ですませる方が多いのは残念です。一人で遊ばせるためにおもちゃを選ぶのではなく、遊ぶ中で親子の会話が弾むような栄養満点のおもちゃを選んで、楽しい時間を共有してほしいと思います。

(おもちゃコンサルタント・坂本秀子)







童話の森
小鳥と少女
 文と絵・荒木尭

 僕の名前は小鳥のハッピー。ハッピーという名前は飼い主のミサキちゃんがつけてくれた。

 ミサキちゃんは体が弱くて、お母さんやお父さんに自分の部屋から出してもらえなかった。だから、ミサキちゃんの友だちは一緒に部屋にいる僕だけだった。

 「ねえ、ハッピー。今日はいい天気だね」。ミサキちゃんは窓の外を眺めている。ミサキちゃんも僕と同じようにカゴの中の小鳥だった。自由も何もない、ただ与えられるだけの生活。だから、僕にはミサキちゃんが何を思いながら、窓の外を眺めているのか痛いほど分かった。

イラスト  そんな毎日が続くと思っていたある日。夜、ミサキちゃんが急に熱を出して病院に運ばれていった。そして、もう二度とこの部屋に帰ってくることはなかった。

 ミサキちゃんがいなくなってからしばらくして、お母さんが僕の入ったカゴを家の近くの野原へ持っていった。「さあ、ハッピー。あなたはもう自由よ。好きな所へ行っていいのよ」。そう言いながらお母さんは鳥カゴを開けてくれた。そして僕は翼を広げ飛び出した。なんて気持ちがいいんだろう。外の世界がこんなにすばらしいなんて。ミサキちゃんと一緒だったらどんなによかっただろう。そう思うと僕の目から冷たいものが流れていった。

 「ハッピー」。そのときだった、そよ風にのってミサキちゃんの声が聞こえたのは。「ミサキちゃん、ミサキちゃん今どこにいるの」。僕は夢中で話しながら声のする方へ飛んだ。「私はね、ハッピーの近くにいるのよ」。「えっ、僕の近く!」。「私ね、空になったんだ。ハッピーが飛んでいるこの青い青い空に」。「空に?」。「ハッピー、私がいなくて寂しい思いをさせてごめんね。でもこれからはずっと一緒にいるからね」。いつしか僕の涙はミサキちゃんに会えない悲しみの涙から、声が聞けたことへの喜びの涙へと変わっていた。そして、その涙と空の青さとが、僕の体を雲一つない晴れた空のような青色に染めていく。

 ミサキちゃん、僕もう寂しくないよ。それでね、僕、決めたんだ。これからは寂しい思いをしている子どもたちの所へ飛んでいって友だちになってあげて、そんな友だちを少しでも幸せにするって。

 そう心の中で誓いながら、ハッピーは青空に向けて翼をはばたかせた。そして、ハッピーは世界中で幸せな青い鳥とよばれるようになった。(長崎南山高1年、16歳)



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