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岩かげのしずかな湖に、アヒルの親子がすんでいました。 お母さんアヒルは、きょうも子どもアヒルの正太くんに“およぎ”をおしえています。 「正太くん、もっと足をうごかして!」 正太くんはお母さんに意見されるのをいやがります。そして「このまえ、おじさんがここへきたとき、だまってても浮いているようだったよ…」 そんなわがままをいいだしました。 見たままのときは、足がうごいてないようにしているからでしょう。 「お母さんのようすだって見てごらん。はなれていたら足はみえないでしょ。でもね、浮いているときだって足はうごいているのよ」
お母さんは、遠くへはなれておよいでみせます。それでも正太くんは、なっとくがいきません。「わからなかったら足をうごかさないでそこに浮いていなさい!」 お母さんが少しきびしい表情でいいました。そのとき「助けて、助けて!」 正太くんは、水面にひっくりかえって叫びます。 「お母さん、お母さん!」 お母さんに助けをもとめます。 「自分でおきなさい! 足をうごかしながら浮き上がるのよ…」 お母さんは、すかさずいいました。 しかたなく正太くんは、足をばたばたさせているうちに、やっと浮きあがることができました。 「足がうごいているでしょ」 お母さんにそういわれた正太くんは「うん…」と、にがわらいしています。 お母さんもやさしくほほえみかけました。そして、春のひざしをあびながら親子でなかよくおよいでいました。 (西彼長与町、65歳、主婦。絵は孫)
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