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文と絵 伍田さつき
“おまえなんか学校に来るな”。小学6年の明君の学校の机(つくえ)に、大きくペンで書かれてありました。「ひどいな、またかよ」。明君の友人、良太君は言います。しかし、明君は「大丈夫だよ」と笑っていました。6年になってから、やたらと明君の悪口を書いた手紙や机の落書きが目立っています。でも、明君は特別心の優(やさ)しい子です。「だれか明に恨(うら)みを持ったやつがいるのか」。良太君は絶対(ぜったい)に許(ゆる)しません。 ある日の放課後(ほうかご)、笛(ふえ)を忘れた良太君が教室に取りに来たときのことです。明君の机に何やらいたずらをしている子がいました。「だれだ? おまえ、隆じゃないか」。同じクラスの隆君は、6年のはじめに転校してきた子です。「こんな所で…あっ、おまえ」。ふと明君の机を見ると“来るな”と書かれてあり、隆君はペンを持っていました。 「隆だったのか、犯人は」。良太君は信じられません。クラスでもまじめな隆君が。「ぼく、明さんがうらやましい。頭よくてスポーツ万能(ばんのう)で、一生懸命(けんめい)努力したって明さんにはかなわない。だから、あの人さえ来なければ」と隆君はいいました。
「僕だって初めはそんなこと思った」。良太君は強く言いました。「じゃ、なぜ仲良くしているの」と隆君は問います。良太君は笑いながら、「だってボク、明みたいになりたいから」。隆君は驚(おどろ)きました。良太君は続けます。「明がボクの目標(もくひょう)だから、明のことをたくさん知って、あいつのまねしてるんだ。お手本を恨んじゃいけないしさ」隆君は少し考えて言いました。「そうか、ぼく間違ってた。明さんを恨んでいたんじゃなくて、嫉妬していたんだ」。隆君は涙が出てきました。「その人になりたいから、うらやましいから嫉妬していただけだよ」。良太君は隆君にハンカチを差し出しました。 翌日(よくじつ)、隆君は明君にすべてを話し、明君はこころよく許してくれました。そして、隆君は明君のようにすてきな人になるために、がんばって勉強しました。 何カ月かたち、算数のテストで隆君は生まれて初めて百点を取りました。鉄棒の逆上(さかあ)がりもできるようになりました。「やったな、隆」。良太君は心の中で思いました。 (長崎市鳴滝1丁目、19歳、県立鳴滝高等学校夜間部) |
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