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文と絵 森京子
「涼太(りょうた)、きょうはつかれたので、車の中でテレビを見ていましょうね」おばあちゃんが言ったので、涼太はおとなしく車の中で待つことにしました。パパとママはお買い物です。涼太はテレビそっちのけで、大きな声で発表するように話し始めました。 「1番、川にかかるこいのぼり、20点」「2番、ふんころがし、16点」 5歳とは思えない暗記力(あんきりょく)で、涼太はテレビ番組の「仮装(かそう)大賞」で見たことを、おばあちゃんに得意(とくい)そうに聞かせます。 「15番、ピカピカの一年生、20点」 おばあちゃんは何度か聞いているので、最後まで聞くと38番まであることを知っています。おばあちゃんは少しよそ見をしました。涼太はすかさず、「聞いているよね」と確認(かくにん)します。
「20番、せんたくき、20点」涼太の口調は、ますますなめらかに動きます。 そのとき、テレビがペンギンのことを話し始めました。 「先日、ペンギンのドミノ倒(たお)しがありました」 「あら、ペンギンだって」。おばあちゃんは涼太の気をひこうとします。かわいいペンギンがたくさん陸(りく)にいて、空を見上げているところです。そこへヘリコプターが飛んできました。すると、そのとき先頭にいた1匹(ぴき)のペンギンが後ろにひっくり返りました。そしてペンギンたちが、ドミノ倒しのように、次々と倒れていきました。 そのしぐさのかわいいこと。涼太もおばあちゃんも大きな声で笑いあいました。 外は今にも雨が降りそうです。 「今度ペンギンを見に水族館に行こうね」。涼太とおばあちゃんは次のデートの約束(やくそく)をしました。 そのとき、「お待ちどうさま。おそくなったね」と言って、パパとママが小走りに車に帰ってきました。涼太とおばあちゃんは「ピース」と指を立て、二人だけの合図をしました。 パパの運転(うんてん)する車の中で、チャイルドシートにふかぶかと座(すわ)った涼太は満足(まんぞく)そうです。 「1番、川にかかるこいのぼり、20点」。助手席のおばあちゃんの耳に、涼太の声がかすかにしたような気がしました。 (長崎市白鳥町、63歳、主婦) |
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