「図解 世界がわかる『地図帳』」(三笠書房)に興味深いデータがあった。国民1人当たりの年間診療回数が世界で最も多いのは日本で、年間14回以上受診するという▲諸外国では、人口当たりの医師数が世界で最も多いというイタリアは年間6・1回、医療・福祉が充実しているとされるスウェーデンは年間にわずか2・9回。日本の診療回数の多さが分かる▲日本では国民健康保険など公的医療保険制度があり、医療費の自己負担が少なくて済むことや、医療給付など民間の保険が普及しているのが要因。国民が平等に医療を受けられる環境が整っているということでもある▲だが現状はどうか。国は不況や高齢化の進行などに伴い増大する医療費を削減するため、これまでに2度の法改正で自己負担率を1割から2割、2割から3割へと段階的に引き上げてきた▲自己負担が増えればその分、公的医療保険制度からの支出を減らせる。また、受診抑制による医療費の減少、自己の健康への意識を高める狙いもある。しかし最近の雇用情勢の悪化もあり、低所得者ほど必要以上に受診抑制をする傾向にあり、保険料が払えず「無保険状態」も増えるなど現行制度のひずみも出てきている▲実施当初不評だった後期高齢者医療制度の見直しについても最近は聞かない。来る衆院選では年金問題も含め、こうした医療制度の在り方も争点にしてもらいたい。(裕)
|