きょうから5月。初夏のさわやかな風が吹き始めたというのに、世界は、同時不況の寒風に続き、「豚インフルエンザ」という目に見えない新型感染症におののいている▲新型インフルエンザの警戒水準を「3」から「4」に引き上げたばかりの世界保健機関(WHO)は、世界的大流行が差し迫っているとして、さらにひとつ上の「5」に引き上げた▲警戒水準は最悪の「6」までの6段階あって、「5」は世界的大流行の危険が迫っていることを警告している。その一方で発生源のメキシコでは、感染がどう広がったのかや詳しい病状などの情報が不明だ▲むしろ情報がないことの方が不安で、恐ろしいことではないか。WHOは渡航制限や国境閉鎖などの勧告はしていない。各国の万全の防疫態勢で、これらの非常事態が出来(しゅったい)しないことを願うばかりだ▲感染症の研究を続ける長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授は、ウイルスについてこんな示唆を与えている。山本教授は「新型インフルエンザ−世界がふるえる日」の著者で、本紙コラム欄「うず潮」の執筆者でもある▲それは生態系との関係を述べたものだ。「微生物との共存という自然界の調和が乱れれば、微生物は自らの生き残りを賭け、種を超えた感染を模索する。(略)エイズやエボラの出現は生態系への無秩序な侵蝕の結果である」(「ハイチ いのちとの闘い」昭和堂)。(憲)
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