介護の日
(2008年11月13日付)
 「親孝行したいときには親はなし」。できるうちに親孝行をしておかなければ、親がいなくなってから後悔することになる、との戒めだ▲昔の人にとって、親孝行はそう簡単に実現することではなかった。平均寿命が短かったからだ。自分が成人し、生活にゆとりができたとき、まだ親がいてくれて初めて孝行が可能になる。親孝行できた人は、幸運な人であった▲今は違う。戦後の経済成長で社会が豊かになるにつれて、平均寿命が急速に延びた。親孝行したいときに親はまだいる。実に幸運なことだが、代わりに課題が浮上した。高齢者介護という課題だ▲現代の日本人は、親の長寿という幸運と引き換えに、介護という負担を抱え込み、悩み、戸惑っている。だが、そんな苦労も、親孝行ができる幸せを思えば、なんとか乗り越えていくべきものと考えたい▲豊かさが伴ってきた高齢者介護は、われわれにとってまだ経験の浅い、新しい課題だ。悩みや戸惑いがあって不思議はない。大切なことは、社会全体で真剣に解決策を考え続けること。今年から11月11日が「介護の日」になった。国の制度も介護の現場も試行錯誤と混乱が続く現状では、そんな日も必要だろう▲今、深刻なのは介護職の人材難だ。これを緊急に解決できなければ、せっかくの幸運も逃げてしまう。「親孝行は我がため子孫のため」。そう唱え、なんとか乗り越えたいものである。(信)


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