1年後に迫った裁判員制度をにらみ、国会議員が「量刑制度を考える超党派の会」を立ち上げた。極刑の死刑に次ぐ厳罰は、無期懲役
刑だ。だが、無期刑には仮釈放の道もある。そこで、仮釈放を認めない「終身刑」の新設を論議するという▲量刑の選択肢が増えるわけだ。米国や中国にはこの終身刑がある。人権にやかましいフランスやドイツなどの死刑廃止国は、終身刑もない。私たちもやがて判決にかかわるのだ。死刑の判断も例外ではない。生か死かの選択は、なんとも悩ましい▲長崎市の伊藤一長前市長の射殺犯、城尾哲彌被告に、求刑通り死刑の断罪が下りた。被告側は、殺意の計画性を否定するなど、死刑回避を求めていた。だが、社会を震撼(しんかん)させた大事件だった。言論と民主主義を真っ向から否定した犯行の重大性や社会性を優先したのだ▲望み通りの極刑にも遺族の心底は、癒えることもない。故人が戻るわけでもない、殺害された動機も納得できないだろう▲2代続けて平和を世界に発信する長崎市長が凶弾に遭った。単なる偶然なのだろうか。迷宮入りした池田辰己県議会議長刺殺事件(1969年)など、他にも政治家絡みの事件は起きている▲そして、「事件は防げなかったのか」。事件前の通報に対応しなかった警察の不手際も指摘されてきた。まだのど元のつかえはとれないままだ。これで終わるわけではない。(剛)
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