出島橋
 (2003年9月27日付)
 復元事業が進む長崎市の出島史跡の東側に鉄製の橋がある。三角形を組み合わせた細身の構造物は中島川の水面に優しく映え、周辺の景観に独特の表情を与えている▲「出島橋」。史跡横から県庁の裏門方向に走る市道に架かっている。今は迂回(うかい)路として使われ、車で通り過ぎることが多いが、現役の鉄橋としては日本で最も古い▲研究者や業界、官庁の技術者らで組織する土木学会(御巫(みかなぎ)清泰会長)の本年度「選奨土木遺産」の一つに選ばれた。「後世に伝えるべき土木構造物」として認定されたもので、将来は国の重要文化財に指定される可能性がある▲コウモリのような不思議な形をした橋名板には「明治43年架」とあるが、最初は長崎港改修工事の一環で中島川の河口寄りに1890(明治23)年に「新川口橋」として架けられた。その後、旧出島橋の老朽化に伴い、現在地に「出島橋」と名前を変えて移設された。長崎大の岡林隆敏教授が古写真や市議会記録などから解明した▲「新川口橋」は米国から鉄材を輸入して日本人技術者が監督して組み立てた。当時の製鉄技術から鉄材は薄く細い。それをボルトでつなぎ、現代の鉄橋にない繊細な構造。橋門には唐草のしゃれた装飾もある▲国内最古の記録は毎日更新されているが、出島復元計画ではいずれ撤去される運命にある。近代化遺産の宝庫といわれる長崎市。現役で活躍する本物の魅力を活用しない手はない。(宣)


|長崎新聞TOP|