カネミ油症を追う

患者ら「治療に生かして」 未認定対象外に批判も

 厚生労働省がカネミ油症認定患者の健康実態調査結果を公表した31日、五島市の油症患者などからは調査を有効活用した治療法開発などを望む声が出る一方、未認定患者を対象外とした点から批判も出た。

 カネミ油症五島市の会の宿輪敏子事務局長(48)は「発生から約40年たった後の調査で患者の記憶も薄れており十分ではないが、これをきっかけに被害の解明と治療法開発を進めてほしい」と要望。油症事件発生時に同居していた家族が全員認定されたケースが5割足らずだった点に触れ、現行診断基準については「一刻も早く変えるべき」と主張した。

 調査では骨や関節、皮膚、つめの病にかかった人が8割を超え、健康不安を訴える意見も多数。患者を支援する保田行雄弁護士(東京)は「苦悩の本体が病であることがはっきりした。医療費支給や健康管理手当の支援など政府は対策を取る必要がある」と指摘した。

 被害者らは今国会での抜本的救済法案の成立を求めており、五島市玉之浦町の認定患者の男性(49)は「国は調査結果を真摯(しんし)に受け止め、全面解決を」と訴えた。

 一方、未認定患者は調査対象外だった。体に倦怠(けんたい)感を抱える未認定患者の男性(49)=玉之浦町=は「認定、未認定の両方を分析しないと実態は分からないのに国は無視した。未認定患者も調査した市のデータなどと総合し把握してほしい」と訴えた。

◎ズーム/カネミ油症

 1968年、北九州市のカネミ倉庫が製造した米ぬか油にダイオキシン類などが混入、本県や福岡など西日本を中心に約1万4千人が頭痛や皮膚疾患を訴えた。現在も、根本的な治療法は確立されていない。認定患者は現在約1400人で、カネミ倉庫が医療費の一部を負担する「油症券」を持つが、使用できる医療機関が限られ、利用できない人も多い。


2010年4月1日長崎新聞掲載


TOP