カネミ油症発覚から41年 本格救済へ期待高まる

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カネミ油症新認定訴訟の口頭弁論を前に本格救済を訴える各地の患者ら=8日、福岡地裁小倉支部前
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県は実態把握へ精査 「この半年が勝負」
1968年、新聞報道(10月10日付)で発覚したカネミ油症事件。今月で41年が経過するが、油症患者の公的救済の枠組みはまだない。約20年前に終結した一連の油症裁判で国や企業と闘った患者たちは年老い、仮払金返還免除に向けて近年広がった救済運動も特例法成立でいったん収束した。しかし今、政権交代で本格救済への期待は再び高まりつつある。被害者、支援者、行政の動きと思いをまとめた。(報道部・山田貴己)
■大半は秘匿
「(油症被害を)伝えなければと思うが、娘は思い出したくないって言い張っている。だから会えない」。取材依頼の電話に、県央地区の高齢の女性が答えた。汚染油を摂取した患者たちは、多くが体調不良や複数の疾病に耐え、差別や偏見を恐れて油症を秘匿している。本土在住被害者のネットワークづくりを目指す諫早市の下田順子さん(48)は「語れないほど恐ろしいことが患者には起きた。国は被害実態を把握せず、苦悩を見ようとしてこなかった」と訴える。
■未認定患者
未認定患者は完全に放置されており、全国で1万人以上いるとみられる。昨年度、国が初めて実施した油症の実態調査でも未認定者は対象から除外された。
本県の本年度油症検診の受診者数は計194人(玉之浦93、奈留47、長崎54)。うち未認定者は84人(玉之浦42、奈留19、長崎23)で、前年度より5人増えた。県は本年度、未認定者の実態に少しでも迫ろうと、独自に検診記録を過去にさかのぼって精査中。特に診断基準の壁で同一家族内でも認定、未認定に線引きされているケースを重視。阿部省三県生活衛生課長は「油症は国レベルの問題だが県としてできることは手を打ち、国につなぐ」と話す。
■政権交代で
「本格救済はこれから半年が勝負」。民主党中心の新政権誕生を受け、カネミ油症被害者支援センター(東京)は7日、福岡市内で被害者交流会を開催。五島、広島、福岡の患者ら約30人が集まった。同党は3年前、本格的な救済法案を国会に提出、廃案になった経緯がある。患者らは今後、同党などに強く働き掛け、来年の通常国会(1月召集)で他の公害や薬害事件と同等の「カネミ油症被害者救済法案」の成立を目指す。全被害者実態調査、根治療法開発の強化、医療費の公的負担と健康管理手当、認定制度見直しなどを盛り込んでもらう決意だ。
■新たな角度
患者が多い五島市では、新たな角度で油症事件を見つめ直す取り組みも始まっている。10日、福江総合福祉保健センターで開かれる「食の安心・安全 豊かな五島市大会」で、教師や島民らが初めて油症を題材に劇を上演する。また同市は、油症の経過や諸問題を総合的にまとめた記念誌を編さんする事業にも着手した。双方にかかわる宿輪敏子さん(48)は「さまざまな手法でダイオキシン被害である油症への理解を広げていきたい」と意気込む。
2009年10月10日長崎新聞掲載
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