カネミ油症を追う

「なぜこんな思いを」 五島の女性が苦悩の半生陳述

 【福岡支社】「悔しくてたまらない」−。6日、カネミ油症新認定訴訟の口頭弁論があった福岡地裁小倉支部。意見陳述で五島市内の70代女性は、幸せな人生を奪い去った油症のむごさ、加害企業への憤りを、涙を流して訴えた。

 1968年ごろ、夫は船員で不在が多く、女性は同市で母と暮らしていた。母は安いと評判のカネミ倉庫製米ぬか油を地元店で購入。それが有害物質に汚染されていた。摂取後、度重なる健康被害が女性を襲った。

 陰部にできものができて大きく腫れ上がった。診療所は梅毒と誤診。夫との関係が険悪になり、薬も全く効かなかった。化膿(かのう)を繰り返し、切開のために遠い市街地の病院へ通うにもバスの乗車は激痛を伴う。やむなく利用するタクシーの代金は経済的負担が大きく、通院はぎりぎりまで我慢した。誰にも相談できず、知られることが不安で仕方なかった。

 子宮筋腫になり子宮を摘出。重い蓄膿(ちくのう)症、緑内障、白内障も患い、全身が骨粗しょう症と診断された。油症検診を何度受けても却下され、未認定のまま援助は全くなかった。診断基準にダイオキシン類の血中濃度が追加された2004年に認定。発症から既に36年が経過していた。それまで自己負担した多額の医療費、通院費の支払いさえカネミ倉庫は拒否している。

 近年も入退院を繰り返す女性。「一番つらいのは子宮筋腫でわが子を授かれなかったこと。何でこんな寂しい思いをしなければならないの」。悲しみに震えた声が法廷に響いた。


2009年8月7日長崎新聞掲載


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