カネミ油症を追う

救済の流れ消さないで 患者ら法案提出へ切なる願い

 「未認定患者を助けて」「救済法案を必ず国会に出して」−。長崎市で18日あったカネミ油症検診の会場では、油症患者やその子どもらから救済を求める悲痛な声が聞かれた。

 油症問題は、6月までの通常国会で被害者救済法案の提出が先送りされた。提出を模索してきた民主党前参院議員の犬塚直史氏は7月の参院選長崎選挙区で落選。被害者救済は先行き不透明な状況になっている。

 昨年、油症認定された長崎市の女性(58)はめまい、吐き気、頭痛、しびれに「束になって襲われる」症状に苦しんできた。「法案先送りは本当にがっかり。本県選出の山田正彦農相や西岡武夫参院議長らが油症問題に本気で取り組むのか注目している。超党派で法案を出してくれれば政治に振り回されなくて済む」と期待。

 母が認定患者の県央地区の未認定女性(21)も「法案が出なくて悲しかった」。長崎市の未認定男性(39)は「ひどい症状の未認定患者もおり、問題は深刻だ」と訴える。

 同市の男性(78)は、油症の疑いがあった未認定の妻が3年前に死去。「背も前も見せられんごと大きなできものができて。医者にも恥ずかしがって行かず…」。未認定の4人の子は40〜50代だが皆、吹き出物がひどく、頭痛やしびれもあるという。初めて受診した三男は知的障害があり、尻は吹き出物の切開跡で傷だらけ。「知的障害も油症のせいでは」と男性は嘆いた。

 諫早市の認定患者で救済運動に取り組む下田順子さん(49)は「救済の流れはあったが、今は先が見えない。でも未認定患者の受診は増えている。声を上げる人も出てきた。長崎、五島からもう一度、カネミ油症を社会に問いたい」と話した。


2010年8月19日長崎新聞掲載


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