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2004年8月26日


諫干工事差し止め命令
佐賀地裁が仮処分


諫早湾干拓事業の工事差し止めを命じる決定に「勝訴」の垂れ幕を掲げる弁護士=26日午前10時、佐賀地裁
 有明海異変による漁業被害は国営諫早湾干拓事業(長崎県)の影響だとして沿岸4県の漁業者106人が申し立てた工事差し止めの仮処分申請に対し、佐賀地裁の榎下義康裁判長は26日「一審判決にいたるまで、工事を続行してはならない」と命じる決定を出した。

 漁業者や市民が原告となり2002年11月、国に対し損害賠償と前面堤防工事差し止めを求めて提訴。同時に漁業者が仮処分を申請した。

 漁業者側は仮処分申請の審尋で「事業で諫早湾干潟の浄化機能が失われた。潮受け堤防の閉め切りで有明海の潮流が弱まり、甚大な漁業被害が生じた」などと主張。

 国側は「工事と漁業被害に因果関係はない。仮処分が認められると地域農業の振興が阻害される」などと反論した。

 漁業者や市民約860人が原告となっている本訴の審理は、同地裁で継続している。

 諌早湾干拓事業は、諌早湾の奥部を潮受け堤防で閉め切り、内側に干拓農地約700ヘクタールを造成する。総工費は約2500億円。2006年度中の完成に向け、既に9割以上の工事が終了している。


 「この時期にまさか」仮処分受け工事中断

 【諌早】「完成間近のこの時期にまさか…」。佐賀地裁で国営諌早湾干拓事業の工事差し止めの仮処分申請が認められた26日、事業地では早速工事が中断。事業推進を求める周辺自治体では驚きの声が広がった。


工事中止が現場に伝わった後、森山ゲートから中央干拓地を後にする大型車両=北高森山町、26日午前11時14分
 事業の進ちょく率は3月末時点で94%。2006年度の完成に向け、前面堤防工事や農地整備を進めている。九州農政局諌早湾干拓事務所は工事差し止め決定を受け午前11時ごろ、工事中止を請負業者に指示した。

 諌早市の吉次市長は「完成も近く防災効果も発揮しているにもかかわらず、事業の必要性が理解されなかったのは誠に残念。事業推進の立場に変更はないが、国や県の対応を見守リたい」とのコメントを発表した。

 諌早湾防災干拓事業推進連絡本部の大塚梓事務局長も「推進を求めていたので非常に不本意。今後も予定通りの完成などを求める」と驚きと憤りを隠せない様子で話した。

 一方、事業見直しを訴える諌早干潟緊急救済本部の山下八千代代表は「画期的な判断。国はいい方向に転換できるようにしてほしい」と語った。


 中止長引けば影響も/鶴田孝廣・県諌早湾干拓室長の話

 決定の内容を確認していないので、現段階で正式なコメントはできない。完成まであと2年半だが工事中止が長引けば当然、事業に影響は出る。出張中の知事と相談し、指示を仰ぎたい。


 諌早湾干拓事業
 有明海に面した諌早湾の奥部約3500ヘクタールを高潮の防災機能を持つ潮受け堤防で閉め切り、内側に干拓農地約700ヘクタールを造成する農水省の事業。総工費は約2500億円で、2003年度末までに94%が終了。06年度中の完成に向け、現在、内部堤防工事と農地の整備が行われている。

 有明海のノリ凶作をきっかけに02年4月、潮受け堤防排水門を開け、調整池に海水を導入して有明海への影響を調べる短期開門調査が行われたが、沿岸漁業者らが要望した中・長期開門調査は今年5月に亀井善之農相が見送る方針を表明した。



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