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漁業者「闘い終わらない」 国営諫早湾干拓事業の完工式を四日後に控えた十六日夜。諫早市小長井町で開かれた、タイラギ漁業者でつくる新泉水海潜水器組合の総会。あいさつに立った組合長の松永秀則さん(54)が言った。「工事期間中は我慢してきたが、このまま国が引き揚げれば約束違反。今からがヤマ場だ」 かつて「宝の海」の象徴とも言われたタイラギ漁は、潮受け堤防の工事本格化と同時期に水揚げが激減。一九九三年から休漁が続く。「漁業経営はできると言われ、仕方なく諫干に同意した」という松永さんにとって、タイラギのいる海が戻るまで闘いは終わらない。 防災と農地造成を二枚看板に、二千五百三十三億円をかけて推進してきた国家プロジェクト。だが、計画見直しによる農地の大幅縮小などに伴い、費用対効果は「0・81」と採算ラインの「1」を下回っている。 総事業費のうち農地造成に約一千億円を投じたが、入植できるのは最大でも五十戸ほど。農地面積の七百ヘクタールで換算すると、十アール当たり千四百万円ほどの造成費がかかった計算となる。また干拓農地で適した作物の選定や栽培方法などを研究するための営農試験には、この七年間で三億円以上を費やしてきた。
「知事自らが財政難と言いながら、なぜ一握りの農家のために巨額の公金を投入し、優遇するのか。全く理解できない」。農地取得への公金支出は違法として、裁判で争っている原告弁護団の堀良一事務局長は県の施策に疑問を投げかける。 一方、干拓農地の農業用水として活用し、有明海に排水する調整池の水質は一向に改善していない。調整池に流れ込む工業用水や生活排水の対策など、水質改善にこれから巨額の財政負担を伴うとの見方もある。 県や諫早市など地元には「完成に合わせ、国が事業から手を引いていくのではないか」との不安も強い。金子知事は七日の定例会見で「(今後も)国が特に責任を持って取り組んでいただきたい。県と一体となって取り組んできたが、これは国営事業ですから」とくぎを刺した。 長崎大干拓構想から半世紀以上。有明海の漁業者らとの激しい対立の歴史を重ね、紆余(うよ)曲折を繰り返してきた国家プロジェクトは、さまざまな課題を抱えたまま、きょう二十日、完工式を迎える。 (この連載は諫早支局・向井真樹、報道部・佐藤烈が担当しました)
2007年11月20日長崎新聞掲載
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