(2003年2月27日長崎新聞掲載)
わが国を代表する大型リゾート施設ハウステンボス(佐世保市)が二十六日、会社更生法の適用を長崎地裁佐世保支部に申請した。入場者数の伸び悩みが打開できなかった上、過去二度の債権放棄に応じてきた主力取引銀行も不良債権処理に追われ、これ以上の支援は困難と判断、同法申請に踏み切った。
負債総額は約二千三百億円に上る。営業は継続しながら、再建の道を探る方針だが、本県観光を支えてきたハウステンボスの経営破たんは地域経済に重大な影響を与える恐れがある。一刻も早く再建の道筋を付けるよう、関係者の全面的な協力、支援が必要だろう。
ハウステンボスは、テーマパーク、長崎オランダ村(西彼町)で成功した神近義邦社長が一九九二年三月、佐世保市針尾町の工業団地を買収して開業した。オランダの街並みを再現、「千年の街づくり」を唱え、環境にも配慮した本物志向の長期滞在型リゾートを目指した。
だが開業直後こそ、東のディズニーランドと並び称されるほどの人気を集めたが、不運にも開業時は既に日本経済がバブル崩壊へ向かう時期であり、入場者数は九六年の年間四百二十五万人をピークに伸び悩み、低迷を打開できなかった。高級分譲別荘の販売も進まず、初期の過大投資が経営を圧迫し始めた。
ハウステンボスを支えてきた旧日本興業銀行は二〇〇〇年に二百億円、〇一年に三百三十億円、計五百三十億円の債権放棄に応じた。また、二〇〇〇年に引責辞任した創業者の神近社長の後任として、同銀行から二代続けて社長を送り込み、長崎オランダ村の閉鎖、分譲別荘の値引き販売、経費削減、地域密着の営業政策などを進め、〇三年度までの黒字転換を目指す再建計画に力を入れていた。
しかし、デフレ不況で消費単価が下がり、集客の見通しも悪化して資金繰りが苦しくなる一方、昨年九月、政府が不良債権処理の加速方針を打ち出して、興銀が統合して主力取引銀行となったみずほフィナンシャルグループが巨額の処理を急がねばならなくなったため、ハウステンボスへの金融支援の断念に追い込まれたようだ。
今後は裁判所が選任する保全管理人の下で、営業を継続しながら、再建が進むことになる。一刻も早く、再建が軌道に乗ることを望みたい。
当面、最も気になるのは千人の従業員の雇用確保と三千社に上る取引業者への影響だ。ハウステンボスの経営は、すそ野の広い関連業種の上に成り立っているだけに、再建のかじ取りには慎重な配慮が求められる。地域経済への影響を最小限に食い止めることを念頭に置いてほしい。県や佐世保市なども、行政の立場から最大限の再建支援に取り組んでほしい。
再建の方向は、当初の経営戦略がバブル崩壊後の社会状況に適合できなかった点を見詰め、大規模投資で大量集客を図る従来型の戦略から脱皮すべきだ。客の多様な需要を喚起する斬新なアイデアを機動的に実行し、リピーターの増える施設に生まれ変わる必要がある。大胆な発想の転換が求められよう。
本県観光にも重大な転機が訪れた。長崎市など県内の伝統的な観光地が低迷する中で、ハウステンボスは新しい目玉として本県観光をけん引してきた。ハウステンボス依存が一時困難になった今、本県観光にとっても新たな再建プランが求められることになったといえる。ハウステンボスと本県観光の同時再建のため関係者の知恵を結集したい。
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