(2003年2月27日長崎新聞掲載)

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記者会見で謝罪するハウステンボスの経営陣=佐世保市崎岡町、ウェルサンピア佐世保
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九州最大のテーマパークを存亡の危機が襲った。開業十一年目で会社更生法による再建の道を選んだハウステンボス(HTB、佐世保市)。「まさにギリギリの選択だった。おわび申し上げる」。記者会見で深い挫折感をにじませながらも、再建に望みを託す森山道壯社長。一方で、再建の鍵となる経営支援企業(スポンサー)確保には自信を示す発言もあり、衝撃と不安を隠せない関係者や住民との間に微妙な温度差もうかがわせた。
午後二時から佐世保市内で開かれた記者会見。「多くの方々に支援してもらいながら多大なご迷惑を掛け、伏しておわび申し上げます」。森山社長は頭を下げ、こうも続けた。「森、花、運河に囲まれ、環境に配慮した広大な空間が類のない魅力となり、九州観光の中核的役割を果たしている。再生の可能性は十分あるが、多額の債務を背負ったままでは継続は極めて難しいと判断した」。経営理念に今も強い自負を示す半面、業績悪化と後ろ盾である主力銀行の不良債権処理加速には打つ手なく、表情には苦渋と無力感が浮かぶ。
しかし、更生手続きの申立代理人、松嶋英機弁護士は、今後の再建策について「保全管理人が決めること」としながらも、「スポンサーは相当数出てくるのではないか」「今後は押し寄せてくるスポンサーをどうさばくかが問題。(既に相手先を)絞って交渉しているようだ。(経営破たんした)宮崎のシーガイアとは少し違う」と発言、不安を打ち消した。森山社長も「コンセプト(経営理念)を理解してもらえる先にぜひお願いしたい」と期待を込めた。
―会社更生法の申請に至る経緯は。
森山道壯社長
巨額の債務を背負ったままで、競争力を持った経営は難しい。これまでの金融機関を中心とした枠組みでの再建はもはや不可能で、事業存続や営業継続を前提として、裁判所の指導の下で速やかな再生を図るべきと判断した。
―破たんした最大の理由、経営の反省点は。
森山社長 初期投資の負担が大き過ぎた。入場者数も当初計画を下回り開業以来赤字が続き、資金不足で施設のリニューアルも十分できなかった。債務免除や金利引き下げなど金融支援を受け、一方で人員削減など経費削減を進めたが、消費不況の長期化などで目標には及ばず、資金繰りにも重大な支障を来す恐れが出てきた。
―再建は可能か。
森山社長、松嶋弁護士 必ず再建できると思うが、支援するスポンサー企業が必要だ。まだ直接交渉している会社はないが、間接的な打診はある。支援を希望する企業は国内外から相当数出てくるだろう。魅力ある企業なので、早い時期に再建のめどは立つと思う。
―支援企業が決まるまでの資金繰りは。
松嶋弁護士 資金繰りは裁判所に詳しい資料を提出しており、全く心配していない。ただ万が一、不足したときには、主力銀行から再建までの支援を継続して受けることになっている。
―入場客や婚礼客、会員などへの影響は。
森山社長 ホテルを含めアミューズメントなどすべての施設は継続して営業し、イベントも予定通り実施する。宿泊や婚礼の予約客、モーレンクラブなど各種会員についてもこれまで通り何ら変わることはない。
【佐世保】「頑張るしかない」―二十六日、会社更生法適用を申請し、経営破たんしたハウステンボス。従業員は将来への不安を胸に、いつも通り仕事をこなした。観光客らは突然の破たんニュースに驚きながらも「一日も早い再建を」とエールを送った。
県民無料招待を利用して来た諫早市の親子連れは「長崎と言えばHTBというくらい有名。再建に全力で頑張ってほしい」。佐賀県内の女性(33)は「海外からの観光客を受け入れやすい施設づくりが大切と思う」と話した。
従業員には午前九時の開園前に会社側から営業継続が伝えられた。園内のクラシックタクシーの運転手は「来場者は増えていただけに残念。営業を続けるからには頑張るだけ」。案内係の女性(24)は「チューリップ祭で多くの来場者がある時期。お客さまへのサービスはおろそかにできない」と気持ちを引き締めていた。
HTBは午後八時から従業員らに対し会社更生法適用を申請した経緯や、給与支払いには影響がないことなどを説明。ある男性従業員(33)は「今後リストラが進めば自分が対象になる可能性もある。まだ子どもが小さく、将来が不安」と話した。
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1996年度ピークに入場者が減少
ハウステンボスの売上高は一九九三年度に七百億円を突破、最高を記録したが、不動産の売却が要因だった。入場者数は台湾を中心とするアジアからの観光客(約三十三万人)が押し寄せた九六年度がピークになり、売上高も五百億円に迫った。だが、その後は頼みの海外客も減少。二〇〇〇年度の入場者数は初年度を下回る水準にまで落ち込み、入場者、売上高とも上向くことはなかった。
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| 1983年7月 | 長崎オランダ村が西彼西彼町に開園 |
| 92・3 | ハウステンボスが開園 |
| 97・3 | 年間入場者が開園以来最高の425万人を記録 |
| 2000・3 | 日本興業銀行(現・みずほコーポレート銀行)が約202億円の債権放棄。経営再建5カ年計画を発表 |
| 6 | 創業者の神近義邦社長が辞任。興銀出身の和才昌二社長が就任 |
| 01・3 | 年間入場者が開園当時を割り込む354万人 |
| 6 | 和才社長が辞任し、興銀出身の森山道壯社長が就任 |
| 10 | 経営再建5カ年計画を修正し、2度目の金融支援を要請。興銀が新たに約331億円の債権放棄 |
| 02・3 | 開園10周年を迎える |
| 03・2 | 会社更生法の適用を申請 |
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県、佐世保市が緊急本部 風評被害対策に全力
ハウステンボス(HTB)の会社更生法適用申請を受け、県は二十六日朝、金子知事を本部長とする緊急対策本部を設置した。風評被害防止を中心に、取引業者に対する金融支援など当面の対策をまとめた。
対策本部は、県三役に総務、地域振興、県民生活、商工労働、政策調整の五部局長らで構成。県内経済や観光に及ぼす影響を検討し、観光、金融面などで速やかな支援策を取ることを決めた。
HTBが事業継続を表明しているにもかかわらず、施設閉鎖の誤った情報が広まる恐れがあることから、早速同日午後、県観光連盟や県の出先機関の職員らが県内外の旅行代理店などに事情を説明した。取引業者に影響が及ぶ場合は早急に予算を組み、金融支援を実施する方針。
一方、佐世保市も同日朝、緊急幹部会議を開き、緊急対策本部を設置した。市三役、関係部課長らで構成し、企画調整部に事務局を置く。今後、県と連携を取りながら対応に当たる方針。(この項佐世保)
商工会議所など相談窓口を設置
ハウステンボスの会社更生法適用申請に伴い、県商工金融課や県内の商工会議所などは二十六日、相談窓口を設置した。ハウステンボスと取引のある中小企業の相談を受け付け、各種資金制度を紹介する
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