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地域貢献に銀行配慮
(2001年10月14日掲載)

地元密着型の経営柱に

 銀行が債権放棄に応じる条件について、長崎大経済学部の川村雄介教授(金融機関経営戦略論)は次のように説明する。「将来的に自社の利益につながること。そして、放棄を要請した会社の社会性が高いこと」

 今回のハウステンボス(HTB、森山道壯社長)のケースに置き換えると、メーンバンクの日本興業銀行はHTBの再建が可能で、地域の貢献度が大きい、と判断したことになる。地域経済の中核企業が行き詰まった場合、地元のダメージは計り知れない。銀行もその点は十分に考慮する。

 HTBは昨年三月、興銀に債権放棄を要請しており、今回を含めた放棄総額は五百三十億円。一年半という短期間で銀行が二度の放棄に応じた手厚い支援は異例。裏を返せば、経営状況の厳しさを示し、「HTBが本県に及ぼす影響力」への配慮が、興銀の決断を促したと推測できる。

修学旅行生らでにぎわうハウステンボス。地域の中核企業の動向に、市民の関心も高い=佐世保市
 事実、本県、特に地元佐世保市でのHTBの経済効果は大きい。抜群の集客力、パートを含め三千人近い雇用力、そして海外から観光客を呼び込める知名度の高さ。

 しかし、貢献度に比べ、地元経済界における存在感は薄い。「HTBはこれまで独自で活動し、お客を囲い込む傾向が強かった。近郊にもいい観光資源がある。地域と一体化してPRすべきだった」。ある経済関係者は、従来のHTBの姿勢を疑問視する。

 一方で、「雇用の大きな受け皿となり、消費面など地元に大きく貢献したのも事実。地域のいい部分を活用し、全力で再建してほしい」とエールを送る。

 「地域密着型の経営をしたい」。HTBの森山社長は十一日の会見で、何度もこの言葉を口にした。修正した再建計画の大きな柱として地元密着を掲げ、県民の無料招待、夜間入場料の引き下げ、地元大学との連携など数々の対策を進める方針だ。

 ただ、修正計画には、金融機関の支援と同時に自治体の支援も盛り込まれている。県と佐世保市を想定しているとみられるが、具体的に何の支援を求めるのか。現時点で、HTBは何も明らかにしていない。

 光武同市長は「市はハウステンボスを誘致してきた経緯がある。主要企業であり、できる限りの支援策は考えたい」と、前向きな姿勢を示す。しかし、同時に支援の前提条件についてこう続けた。「市民の理解が必要になる」