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編集局長 馬場宣房/共感生む紙面へ全力

馬場宣房  「一度負けた相手には二度負けない」。トーナメントを勝ち抜いて栄冠を獲得するには必須の要素だが、言うは易しく、なかなかできることではない。相手チームの冷静な分析と打開策を即応して示せる指導者の力とそれを実行できる選手力が相まって初めて達成できる。ジャパネット杯第64回全日本高校バレーボール選手権(春高バレー)男子決勝で、本県代表の大村工が昨夏のインターハイ王者の創造学園(長野)をフルセットの末、競り勝って高校男子バレー界の頂点に立った。

 年末年始には、有力スポーツ競技がめじろ押し。ラグビー、サッカー、駅伝、バスケットなど、わが社の運動、写真部は限られた陣容の中で長期出張に耐え、本県勢の活躍を追うのが恒例となっている。各競技とも“日本一”まであと一歩のところにとどまり、少々ストレスがたまっていたが、大村工が一気にこの不満を解消してくれた。

 新年早々、本県に元気を吹き込んだ大村工の快挙に地元新聞社として全力で応えねばならない。3ページの本紙特集に加えて、優勝までの道程を追った写真集の発行を緊急決定した。特集、写真集とも編集局が製作の第一線に立つ。日常の新聞発行業務にプラスしての作業である。選手たちの活躍を連日報道してきた運動、写真記者、それに編集作業に当たる整理部員、メディア編集部員などでプロジェクトチームを編成、来週には販売センターを通じて県民の皆さまにお届けできるめどが付いた。長期取材の疲れもものとせず、「日本一の喜びを読者と共有したい」と労を惜しまず正月返上で仕事に打ち込んでくれたスタッフとその環境を支えてくれた職場に感謝したい。

 幸先の良いスタートが切れた新年だが、政治、経済とも激動の予感をはらんでいる。昨年末、急逝した北朝鮮の金正日総書記の後継とされる金正恩氏への権力移行に世界の注目が集まるが、今年は台湾総統選を皮切りにアメリカ、ロシア、フランス、韓国で大統領選が行われ、中国では党大会で総書記が交代する。足元の日本でも、内閣改造を断行した野田佳彦首相が政権の命運をかけて消費税法案を今月召集する今国会に上程する見込み。本紙が加盟する共同通信社政治部の見立てでは、民主党内の意見集約の3月段階、法案の可否を問う6月段階が、退陣か、衆院解散・総選挙かの正念場となりそう。政治激動に備えて万全の態勢を整えなければならない。

 インターネットなどメディアの多様化の中で、地元新聞社の果たすべき役割をあらためて確認したい。昨年の東日本大震災で、支局や販売店が津波にのみ込まれ、配達網が寸断される中で、各地方紙は歯を食いしばって新聞発行を続けた。情報が遮断され、不安におののく被災者の心の支えになったのは、正確で整理された地元ニュースを届けた地元新聞だった。読者が必要とするニュースを労を惜しまず提供してこそ信頼される地元新聞社の存在価値がある。そこに読者の共感も生まれる。

 まずは地元に密着し、必要なニュースをより詳しく伝える詳報性を、さらに出来事の背景をえぐる解説性、ニュースのその後をさまざまな角度から考える予測性など磨かねばならない要素は多い。新年度の紙面刷新に向けて新聞社の知恵を絞りたい。


  私の紙面批評


森草一郎さん(元県職員)/新年度国家予算 日本一体に…苦い初夢

森草一郎さん  「コンクリートから人へ」。民主党のこの政治スローガンは実に魅力的であった。これに加え「暮らしのための政治を」と掲げたマニフェストで衆院選挙を大勝し政権交代を果たした。当初は事業仕分けや外務省密約公表などで新鮮さも感じた。しかしその後、民主党政権2年半の成果は無残である。「沖縄普天間基地は、国外少なくとも県外へ」と大見えを切った鳩山総理の約束はほごにされ、沖縄県民に大きな失望と怒りを与えた。子ども手当はじめマニフェストに掲げた国民との約束もかなり縮小し、また見送られた。一方マニフェストには一言も書かれていない消費税の値上げ方針は決定された。そして12月25日の本紙で報道されたように、民主党政権3代目の野田佳彦首相は12月末、新年度予算案を閣議決定したが、民主党マニフェストのトップに出てきて当時の国交相だった前原誠司氏が高らかに中止を宣言した八ツ場ダムは復活、公共事業は軒並み認められた。このような予算は民主党のマニフェスト・理念から逸脱した水膨れ予算ではないか。

 この予算について中央ではいろいろな反応や論評があったが、地方・長崎からの意見は、長崎新幹線の予算が認められたことが喜ばしいという県筋の反応は別として、予算全体に対する県民の感想や論評は紙面を見る限りほとんど見当たらないのは残念。その中で12月28日付「記者の目」で後藤敦記者の「しゃくにさわる中央の目線」というコラムが目につく。「長崎新幹線などの大型公共事業の予算を認めることについて在京メディアは批判一色だった。が中央目線で十把ひとからげに無駄扱いされると、地方に住む身としてはしゃくにさわる」という感想は一理ある。確かに個別の予算を見ると切り捨て御免にされては関係者にとってたまらない心情だろう。

 しかし一番怖いのは新年度の予算歳入の半分が国債、つまり借金であること。この状態が既に何年も続いている。12月24日に掲載された声の欄、山崎泰介さんの「財政健全化は議員の責務だ」の中で「今の財政累積赤字は1千兆円、今や国家危急存亡の時」と述べておられるが、この莫大(ばくだい)な借金を誰が払うのか国は何の見通しも示していない。私たちの孫が成人になるころの十数年先の国の予算はほとんど借金返済に充てられ、ギリシャより先に日本国は崩壊するのではと憂えている。本当なら東日本大震災が起きた後の国の予算は、東北3県の復興に必要なお金を、残りの44都道府県の公共事業はもちろん年金や福祉・教育費までも3年程度減額して充てるべきではなかったか、そのような痛みを感じてこそ日本が一体であると国民が認識できたのではと。私の苦い初夢であった。


  ホットライン

大村工選手に感動

 全日本高校バレーボール選手権(春高バレー)で本県男子代表の大村工が初優勝した関連で、1月10日付「児童施設から通学 大村工・高山伸悟選手」の記事を読み、すごく感動し、涙が止まりませんでした。家庭環境に恵まれない中で、頑張り続け見事な活躍を成し遂げた高山選手。中島崇雄記者が書いたこの記事は、スポーツをしている多くの子どもたちや指導者にも大きな励みになったと思います。私には小学と中学の子がいますが、世の中には高山選手のように困難にめげずに頑張っている人がいることを伝える機会にもなりました。自宅では長崎新聞と大手紙の2紙を購読していますが、長崎新聞ならではの持ち味が生きた記事だと感じました。格差社会といわれる中で、頑張れば目標達成できることを教えてくれました。こういう記事をたくさん書いてほしいですね。

(長崎市の40代男性、電話)

なぜ一文字署名か

 1面「水や空」はいつも内容が濃く、興味深く読ませてもらっていますが、一つだけ気になっていることがあります。他の記事は記者の姓名が末尾にきちんと書いてありますが、水や空だけは(信)とか(裕)などとだけ書いてあり、きざに見えて良い感じがしません。検討をお願いします。(西海市の中原巌さん、はがき)

 お答え 長崎新聞社は一昨年春の紙面から記者の署名記事を大幅に増やしました。記事に氏名を入れることで、読者の皆さんに新聞をより身近に感じてもらい、紙面の活性化につなげたいとの思いからです。コラム「水や空」の署名は現在の署名記事拡大に先行して2001年4月の紙面から開始しました。「水や空」は新聞の顔である1面を飾る本紙を代表するコラムです。署名を(A)と氏名の1字を取って表記しているのは、コラムの神髄が限られた字数の中で、いかに読者に共感され、分かりやすく書くかにあり、凝縮したコラムに最小限の表現で柔らかく記者名を示す方法として採用しました。ご理解願います。(編集局長兼論説委員長・馬場宣房)

市議会も仕分けを

 県議会における事業仕分けの模様が長崎新聞で報じられた。その感想をもとに長崎市議会に対し次のような提案をする。

 主催は市議会である。決算審査の前段階の作業として、市民による事業仕分けを公開で行う。議員は市民による仕分けの経過を踏まえて決算審査に臨む。狙いは三つ。市民と議会をつなぐ。熟議民主主義を実践する。決算の在り方に新風を吹き込む。

 仕分け事項は議会が選ぶ。期間は1週間から10日程度とする。議会は学識者と市民に仕分け作業を委嘱する。委嘱を受けた学識者、市民と行政の各部門担当者が一堂に会し、担当者は自分の担当事業の概要を説明。質疑を行う。

 最初に学識者が討議を行う。市民は学識者の討議を参考に意見を述べる。最後に学識者と市民が合同で討議する。一人一人アンケートに意見を表明する。これを1件ごとに繰り返す。

 以上提案する。議会の活性化が叫ばれて久しい。これでその機運を高めてほしい。議会の活性化は行政側の意識改革につながる。

(長崎市の宿輪啓祐さん、封書)

3000万円は無理では

 12月14日付の長崎新聞政経懇話会12月例会の講演要旨の中で、老後のために「一般的には3千万円あったらいいと思う」とあるが、3千万円なんて普通のサラリーマン家庭や自営業者にはないと思う。正当かもしれないが、そんな蓄えはできない。蓄えがない人はどうなるんですか?(はがき)

 お答え 講師の榊原節子氏に尋ねたところ「自分の資産がいくらあるのかしっかり調べて、ある範囲で知恵を働かせてほしい」との答えをいただきました。▽費用が少なくても済む公的福祉サービスもあるので、体が動くうちに自ら情報収集しておく▽資産運用する▽親戚や友人などと仲良く暮らし、互いに助け合うネットワークをつくる−などの案を挙げ「お金だけで解決しようとせず、人的資源を活用してはどうか」とのアドバイスでした。(報道部・永野孝)

油症被害の補償を

 テレビで、カネミ油症被害について報道されていました。あらためて、その人災のひどさに心を痛めるばかりです。東日本大震災も大変ですが、油症被害者の方々が身体的、精神的賠償を国に強く求めることを期待しています。税金の無駄遣いはまだまだあるはずです。天下り、公務員人件費などの問題もあります。東日本大震災の被災者に遠慮することなく、すべての油症被害者に補償が行き渡るよう祈っています。負けないでください。長崎新聞社に私の思いをお伝えします。

(仙台市の53歳男性、メール)



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2012年1月16日長崎新聞掲載

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