敗訴の県が条件付き見舞金提案 原告側「受け取らず」

 海外からの被爆者健康手帳交付申請をめぐる裁判で敗訴した県が、近く施行される改正被爆者援護法に基づいて原告が申請し直すことを条件に、過去の健康管理手当相当額を見舞金として給付すると提案していたことに対し、原告の韓国人女性、鄭南壽(チョン・ナムスウ)さん(88)側は二十六日、「控訴審に影響を与えかねない」などとして受け取りを断り、あらためて控訴取り下げを求めた。

 鄭さんを支援する在外被爆者支援連絡会の平野伸人共同代表らが県庁を訪れ、原告の長男や原告代理人の弁護士とも協議した結果として「受け取りは困難」と回答した。同会は鄭さんへの見舞金を寄付で賄う考えで、街頭などで募金を呼び掛けていく。

 来日しないことを理由に県が申請を却下したのは違法と訴えた裁判をめぐっては、県は手帳交付を命じた十日の長崎地裁判決を不服として控訴する一方、健康状態が悪化した鄭さんへの人道的配慮として見舞金給付に言及していた。

 これに対し、鄭さん側は「県が控訴した以上、二審でも勝訴し、正当な権利として(被爆者援護法に基づく)健康管理手当を受け取りたい」「健康管理手当相当の見舞金を受け取れば、訴えの利益がなくなったとして控訴審で退けられる恐れがある」「県民の税金による見舞金は、本来は国が出す健康管理手当と出所が違い、筋が通らない」と理由を説明。その上で控訴取り下げを求めたが、対応した入江季記福祉保健部長は「控訴は国との協議で決めた」と述べ、現段階ではその考えはないとした。

2008年11月27日長崎新聞掲載







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