解説/援護放置を断罪

 判決は長年、在外被爆者を援護施策の面で放置、差別してきた被爆行政をあらためて「断罪」したといえる。

 一九七二年に韓国人、孫振斗(ソン・ジンドウ)さんが手帳交付を求めた最初の在外被爆者訴訟から今年で三十六年。以来、海外の被爆者たちは裁判で勝利を積み重ね、制度の欠陥を少しずつ補わせてきた。

 身体的理由などで渡日できない在外被爆者にとって最後の大きな壁だった手帳取得の「来日要件」は、年内に撤廃されることが既に決まっている。司法判断の確定前に制度が見直される初のケースだが、これも一連の裁判の動きに「ねじれ国会」の与野党が反応したもので、国が積極的に乗り出したわけではない。

 手帳取得の「来日要件」を撤廃する改正被爆者援護法について、国などは裁判で「(在外被爆者の高齢化などに配慮し)立法的解決を図った」とし、来日要件そのものは正当だと主張し続けた。改正法の施行を間近に控えながら原告側が司法決着にこだわったのは、「在外被爆者切り捨ての姿勢が間違いだったことを司法の場で認めさせたかった」からにほかならない。

 改正法の施行後は、手続きの周知や審査態勢など高齢化する在外被爆者の立場に立った運用が求められる。制度に血脈を通す努力をしなければ、三十六年もの裁判の教訓は生かされない。(報道部・下釜智)

2008年11月11日長崎新聞掲載







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