在外被爆者訴訟10日判決 来日要件の合理性焦点
来日しないことを理由に、被爆者援護法に基づく被爆者健康手帳の交付申請を県が却下したのは違法として、広島で被爆した韓国人女性、鄭南壽(チョン・ナムスウ)さん(88)が国と県を相手に、処分取り消しや健康管理手当の支給などを求めた訴訟の判決が十日、長崎地裁(須田啓之裁判長)で言い渡される。
手帳取得の「来日要件」は六月に議員立法で成立した改正被爆者援護法で撤廃が決まり、改正法が施行される十二月中には在外公館などを通じて海外からも申請ができるようになる見通し。判決では、改正前の来日要件の合理性が大きな焦点となる。
訴状によると、鄭さんは二十五歳の時、爆心地から二・四キロの広島市で被爆。寝たきり状態で渡日できないため、二〇〇六年八月、申請書を郵送で提出したが、県は来日しないことを理由に却下した。同じ場所で被爆した長男(69)は渡日し手帳を取得。親子で状況が異なる。
原告側は「国内被爆者と在外被爆者とを合理的理由なく差別し、憲法の『法の下の平等』に反した違憲処分」と主張。被告側は「交付には申請者から事情聴取し、本人確認や詳細な被爆状況などを聞き取る必要がある。合理性は明らか」などと反論した。
在外被爆者による同種の裁判は全国でほかに三件が係争中。来日要件の是非の初判断となった〇六年の広島地裁判決は「一定の合理性がある」と原告の訴えを却下。これに対し、控訴審の広島高裁は今年九月、「国外居住のみを理由にしたもので違法」と指摘した。また、別の原告が訴えた今年七月の広島地裁判決も「一定の合理性があるが、国内に居住しないことのみを理由として申請を却下した処分は裁量権の乱用で違法」とした。
2008年11月9日長崎新聞掲載
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