証言の会が英訳本出版へ 米での販売を計画
被爆証言の掘り起こしと記録活動などを続けている長崎の証言の会(内田伯氏ら代表委員三人)が、国内外のボランティアの協力で「証言 長崎が消えた」(A5判・三百三ページ)の英訳本出版を計画している。来春までには米国で出版・販売したい考えで、一九六九年から証言集を出してきた同会としては初の試み。関係者は「原爆を投下した米国で一人でも多くの人に読んでもらい、被爆者の核兵器廃絶の願いを理解してもらいたい」と期待している。
二〇〇六年に同会が刊行した「長崎が消えた」は「創刊初期の証言集の入手が困難」などとの声に応え、それまでに紹介した長崎、広島の被爆者延べ千十七人の中から「もう一度読んでもらいたい証言」を精選し、再録の形で三十八編を一冊にした。元捕虜のオランダ人や強制連行の韓国人も含まれ、原爆で一変した人生を語っている。英訳本には翻訳が困難だった短歌を除く三十七編を掲載する。
英訳ボランティアを会報誌で募るなどし、英語教諭や英字新聞記者ら被爆者を含む国内や米国在住の二十−七十代の二十一人が協力。昨年夏から作業を進めてきた。
スタッフの吉田睦子さん(66)=長崎平和推進協会国際交流部会長=は「日本語には主語などがあいまいな文章が多いほか、独特の感情表現などもあり翻訳に苦労した」と振り返る。緒方智子さん(65)=長崎総科大講師=は「被爆者ではない私が、翻訳することで追体験できた。被爆証言を継承していくことの大切さを感じた」と話す。
英訳作業は終わり、出版に向けた大詰めの協議に入っている。経費など課題も残るが、代表委員の一人、広瀬方人さん(78)は「米国では原爆投下は当然だったという意識が強い。被爆者の体験を人類共通の体験として伝えたい」としている。
2008年11月6日長崎新聞掲載
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