「米印原子力協定」阻止求める意見書 本県は長崎市だけ
米国が核拡散防止条約(NPT)未加盟のインドを特別扱いし原子力技術協力をする協定が実施されないよう日本政府に求める意見書提出が、九州の自治体議会で相次いでいる。核拡散が心配されるからだが、被爆県長崎の対応は低調だ。
七月合意した協定が実施されると、インドが核兵器開発能力を高めるのに伴い南アジアなどで核開発に拍車が掛かり、NPT体制が崩壊すると指摘されている。米国に同調したオーストラリアがNPT未加盟国へのウラン輸出を禁止する従来の政策を転換、インドへの輸出方針を決めたことも加わり懸念が拡大。
協定の実施はインドなどへの核関連機器輸出を禁じてきた原子力供給国グループ(NSG、日本を含む四十五カ国)の同意が条件。インドから支持を求められた日本政府は「注意深く検討する必要がある」とする一方、「国際的な場での建設的論議に期待」と含みも持たせている。
その日本政府に「NSG会合で協定が承認されないよう慎重な議論を主導すべきだ」と訴える意見書を次々に出しているのが鹿児島県。同県原水爆禁止協議会によると、三月以降今月十二日までに指宿市、さつま町など七市七町議会に上り、さらに増える見込み。
山崎博同協議会事務局長は「丁寧に趣旨を説明すれば理解してもらえる」と手応えを語る。県を含む全四十九議会の可決を目指す方針。同趣旨の意見書は佐賀県議会も三月に提出した。
本県では長崎市議会が三月に同趣旨の意見書を可決。県議会は六月と九月の定例会で民主党議員が動議で提案したが、六月は「広島県議会は取り扱っていない。NSG会合日程は不透明で、時期尚早」とする自民党議員らに反対され、九月も否決された。県も「政府の動きを注視している」と“静観”。坂本浩県平和運動センター事務局長は「県議会の対応は残念。市町議会にも働き掛けたい」。
協定やオーストラリアの方針には平和団体なども危機感を示し、土山秀夫元長崎大学長、影平典日本原水爆被害者団体協議会代表委員、沢田昭二原水爆禁止日本協議会代表理事、福山真劫原水爆禁止日本国民会議事務局長ら十六人は共同でこのほど、同国大使館に対し、インドへのウラン輸出の再考などを要請した。
2007年10月14日長崎新聞掲載
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