NEWSあんぐる・在外被爆者への援護策 程遠い根本救済
被爆者援護法に基づく健康管理手当の支給期限の撤廃や海外での医療費補助など、在外被爆者援護策が少しずつ示される一方、来日できない被爆者の救済という根本的な問題解決には程遠い状況が続いている。長崎では今月、被爆者健康手帳の交付を受ける韓国人被爆者の来日が相次ぐが、その中には高齢や不自由な体を押して命懸けで海を渡るケースも出てきた。
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2002・ 6 在外被爆者の手帳取得時の渡航・滞在費支給などが柱の国の支援事業が施行
12 韓国人被爆者の郭貴勲裁判で国の敗訴確定。政府は日本出国後も健康管理手当など支給する方針示す
03・2 長崎で被爆した韓国人被爆者の李康寧さんの控訴審で国が敗訴
8 健康管理手当の支給期限を一部疾病を除き、原則無期限とする政省令改正。広島、長崎両県市による手帳交付が全都道府県で可能となる。厚生労働省が04年度概算要求で、在外被爆者に対し、現地での医療費助成制度を打ち出す
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在外被爆者にも健康管理手当などを支給するとした昨年末の国の方針を受け、今年前半、韓国人被爆者の来日が相次いだ。既に手帳を持ち、失効した手当の受給権を得るためで、身体的にも経済的にも自力で来日できる人たちだ。
韓国には在外被爆者の約半数の二千二百人が暮らす。受給権を得た約千人には今月二十五日から、七カ月遅れで手当が送られる。残る千二百人は手帳さえ持たず、広島、長崎両市への受給権申請が急増していた。
手帳交付の知らせを受けたソウルや釜山在住の韓国人被爆者約三十人が今月、長崎市を訪れている。手当の受給権申請に自力で来日できる韓国人被爆者と違い、生活苦や高齢、被爆時の記憶がないため、手帳をあきらめていた人たちだ。
十七日、同市に来た韓国人被爆者十二人の中には、九十一歳の女性やほぼ寝たきりの女性の姿があった。鄭斗來さん(67)=ソウル市=は五年前の転落事故の後遺症で、下半身がまひ。体内に管を通し、ビニールパックに尿をためる状態だ。
付き添う夫の崔圭銀さん(69)は「航空機と車を乗り継いで約半日、体が不自由な妻にはつらすぎた。来日しなくても手帳を受け取れるよう、お願いしたのに聞き入れてくれなかった」と唇をかんだ。
被爆者援護法は、手帳の交付審査の条件として来日を義務付けている。高齢や重病で来日できない被爆者からは、現地での交付審査を望む声が大きい。来日要件の撤廃と現地審査について、厚生労働省健康局は「現行法では難しい。来年度から始める現地での医療費補助が現段階で有効と判断している」と態度を崩さない。
「手帳という援護の第一段階で『来日』という縛りをかけ、その後の条件を緩くしても小手先にすぎない。最も援護を求める人は救われない」。韓国原爆被害者協会釜山支部の車貞述支部長(74)は、日本政府の“小出し”の援護策に焦りをにじませた。
(報道部・高比良由紀)
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