NEWSあんぐる・厳しい韓国の被爆二世運動
被爆二世問題は日本では全国的な健康影響調査が本格化するなど施策が緒に就いたが、韓国内での認知度はまだ低い。日韓両国の被爆二世が今月二十六日、韓国釜山市で開いたシンポジウムでは在外被爆者援護で日本政府を批判する声が上がり、「二世問題よりまず被爆者である親の世代の救済を」という意識の強さを印象付けた。(報道部・高比良由紀)
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親の世代の救済優先
シンポジウムは一九八九年、二〇〇〇年に続き三回目。日本のアジア侵略や戦後補償問題で、日本への不信感をぬぐえなかった韓国の被爆二世が、在韓被爆者支援に取り組む県被爆二世教職員の会(平野伸人会長)の活動を評価し、交流が継続されてきたといえる。
「一世は苦労して生き抜き、年老いた今、体験を記録できない。二世が記録し将来に役立てたい」。在外被爆者訴訟の原告、李康寧さんの長男で、韓国被爆二世の会釜山支部長の李太宰さん(44)は日本の二世運動に学び、被爆者である親たちの記録に取り組む。
三十万―五十万人といわれる日本の被爆二世に対し、韓国の二世は約二万三千人(韓国被爆二世の会の推測)。韓国被爆二世の会の李承徳会長は「多くの二世は会の存在を知らない。会員は数十人にとどまり活動も広がらない」と言う。
太宰さんは約六年にわたる父の訴訟資料や映像を収集しているほか、定期的に被爆者宅を訪問している。勤務する高校に父親を招き原爆写真展を開き、若い世代に被爆の実相を伝えている。
在外被爆者に対する日本政府の健康管理手当などの支給方針だと、高齢や病床の被爆者は来日して手続きができないので援護を受けられない。太宰さんは「二世の健康問題より今は残された在韓被爆者問題を解決することが先決」と言い切る。
在韓被爆者が置かれた厳しい現実を記録する活動は、問題解決と被爆の実相を次代に伝えるために、韓国の二世にできることとして取り組んでいるという。
平野会長は韓国の被爆二世運動について「歴史認識の壁を越え、やっと在韓被爆者問題など共通基盤を確立できた。二年後の被爆六十年に向け、より具体的な行動に移す弾みになった」と語った。
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