NEWSあんぐる・在外被爆者の手当申請
日本政府が在外被爆者に対し、被爆者援護法に基づく健康管理手当などを支給する方針を示してから四カ月がたった。だが、来日が必要なことに変わりはなく、居住地の距離によって、手当の申請数に大きな差が生じている。韓国人被爆者の申請は急増する一方、北南米在住の被爆者にとっては、来日するだけでも大変なためだ。「居住国で援護を受けたい」というのが在外被爆者共通の願いだが、実現の見通しは立っていない。(報道部・高比良由紀)
居住地の遠近で大きな差
「北南米」に重い来日 県、市への要望も遠く
日本政府は昨年十二月、被爆者健康手帳を持つ在外被爆者に対し、日本国内で申請すれば出国後も健康管理手当を支給する方針を示し、過去五年以内の未払い分も支払うことになった。これを受け、日本との距離が近い韓国の被爆者は、手当の受給資格を得るため、毎週六人ずつ長崎を訪れている。広島市でも先月末までに約六百五十人が申請。いずれも自費で来日、日本の病院で健康診断を受け、申請手続きをしている。
また、昨年六月施行された政府の在外被爆者支援事業では、被爆者健康手帳を取得する際、渡航・滞在費を支払うようになった。これを受け、韓国人被爆者の手帳取得申請も、今年に入り長崎県と市だけで約百四十人に急増している。
一方、来日だけで二十時間以上かかる在ブラジル原爆被爆者協会の森田隆会長(79)は、韓国と異なる南米の実情を次のように訴える。
「飛行機での長旅に耐えられない高齢のブラジル在住被爆者にとって、来日が必要な間は、援護面で何も変わらない」
森田会長らは四月中旬に来日。厚生労働省に居住国での援護実現を求めた後、支援事業の実施窓口である広島、長崎両市にも足を延ばした。
その際、協会幹部の一人が、日本に向かう機中で体調を崩した。腎臓に持病があり、成田到着後、すぐに入院。今も広島市の病院に入っている。在外被爆者にとって、現在の援護では限界があることを示している。
「国が手帳申請や治療のための来日費用を出してくれるなら、ブラジルの病院で治療を受けさせてほしい」。森田会長は四月三十日、長崎県と市に対し、居住国で医療給付と手帳、手当申請などができるよう、支援事業見直しへの協力を繰り返し訴えた。
だが、昨年末以来、健康管理手当を申請している韓国人被爆者にも、手当はまだ届いていない。日本政府が、海外への送金方法を決めかねているからだ。過去五年にさかのぼって支給する分も、厚労省は対象となる約六百五十人の住所や生死の確認を急いでいる段階という。
「年齢的に長崎に来る最後のチャンスだった。在外被爆者救済の流れができた中、日本政府の姿勢が変わる可能性はある。海外で日本国内向けの援護法を適用させようとするから、無理が生じる。国情に応じた施策にしないと、いつまでも母国も援護も遠いままだ」。森田さんは、そう訴える。
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