NEWSあんぐる・被爆地拡大是正 「特例区域」に健診
長崎の被爆地域拡大是正問題について国は十八日、被爆未指定地域に対する新たな援護策を打ち出した。八月九日の長崎原爆の日に来崎した小泉首相の前向き発言から四カ月、国の結論をひたすら待ち続けた被爆地長崎。爆心地から半径十二キロ内の被爆未指定地域を「健康診断特例区域」に加え、被爆者援護法で無料健康診断を行う。医療費支給は法の枠外で限定的に実施し、手当はなし―導き出された施策をどう受け止めるか。関係者は十九日も慌ただしい動きを見せた。(報道部・森永玲)
ひたすら待って予想通りの結論 不明点まだ多い新制度
国から市への通知は十八日昼すぎ、伊藤市長に厚生労働省健康局長から電話が入った。「『きょう午前、総理と厚労相の話で決着したのでご連絡します』ということだった」
国の施策については八月、「健康診断だけを実施」との情報が流れ、未指定地域住民たちを困惑させた。同月九日の「原爆の日」、首相が未指定地域住民に対し「何らかの措置が必要」と積極姿勢を示し、いったん安どした長崎市。だが国は「年内に結論を出す」(坂口力厚労相)と言ったきり、十二月が近づいても動きを見せず、地元では再び不安が高まった。
十一月末、同省を訪ね帰崎した伊藤市長は、国の反応について「厳しい。見えない」とこぼした。このころから「援護策は『健診だけ』以上、『従来の特例区域』未満の線」(市議)との観測が広まった。果たして国の結論はその予測通り「健診以上、特例区域未満」だった。
「政府動かしたのは成果」
被爆地長崎は「(健診、医療費支給、手当がそろった)特例区域と同等の措置を」と求めてきた。こうした要求と政府の回答に格差はあるものの、未指定地域住民が戦後半世紀、国の援護から除外されてきた経緯を踏まえれば「政府を動かしたのは成果」(市幹部)ともいえる。十八日の記者会見で伊藤市長は「一定評価できる」と強調したが、施策に対する点数を問われると、苦笑して答えなかった。
市と市議会は十九日も今後の対応を協議。政府施策の評価を低めた医療費支給の対象疾病からがんなどを除外した点については、「今回の制度を一年、二年と続けるうちに改善は可能」とみる楽観論も聞かれた。
広島市も長崎の手法を採用し、原爆投下による住民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の調査に取り掛かる構え。長崎市議会の鳥居直記議長は「広島の取り組みが進めば、長崎と連携できる。そのとき援護問題はまた新たなヤマを迎えるかもしれない」とみる。
新制度はまだ不明確な点が多い。市と議会は合同で厚労省を訪ね、施策の詳細を確認。結果は二十八日の市議会全員協議会で報告される。市長、議長らは地元の複雑な反応を受け止めつつ二十日上京する。
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