為石港   (西彼三和町)    


漁船と遊漁船が共存
 長崎市への通勤圏として二つのニュータウンを持ち、年々人口が増加している西彼三和町。長崎半島の中間に位置している同町には、東の橘湾に面した為石港と西側の五島灘に向いた蚊焼港がある。
 市内から16キロ、静かなたたずまいを見せる為石漁港は、為石大川の河口に開かれた同半島では珍しい河港。しかし、一見穏やかなこの港にもかつて悲惨な受難の歴史が秘められている。
 明治39年10月24日、サンゴ採取のため港を基地に、男女群島沖まで出漁した83隻の船団が、台風に巻き込まれ一挙に71隻転覆、197人が命を落とした。当時、村の働き手の大半を失った大惨事を、町郷土誌は生々しく今に伝えている。地区の岩崎墓地にはその後、建立した供養塔なども残り、往時をしのばせるよすがともなっている。
 昭和20年代後半に始まった国の漁港整備事業の年次計画で外防波堤や荷揚げ場、船だまりなどが相次いで完成。臨港道に沿って漁協事務所、船揚げ場のほか県立長崎水産高の臨海実習所なども並び、機能的な港に変身した。
 一方、最近では出稼ぎ先を定年退職した”Uターン組”や長崎市内の釣りマニアらの遊漁船も増え、日曜日や祝日ともなると同港はにわかに活気づき、半農半漁の昔のイメージはすっかり消え失せた。町民は、今後も漁船と遊漁船が共存できる港であってほしい、と願っている。

  メ   モ  
 県立長崎水産高校の臨海実習所でふ化させたタイ、ヒラメ、クルマエビ、ガザミなどが毎年、県立鶴南養護学校の子供たちを招いて地先海岸から放流され、関係者らに感謝されている。
 冬も温暖な特性を生かしビワの栽培が盛ん。特産品のビワワイン、ビワゼリー、ビワ茶などに人気が集まっている。路線バスで長崎市中心部から約30分。

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