福田港   (長崎市)    


人懐っこい陽光の町
 「こがん、小さか港は、ほかになかもんねぇ」と地元漁協の組合長、森熊次さんは、まばらに浮かぶ漁船を漁協事務所の窓越しに見ながらいった。長崎半島と西彼杵半島の西側の付け根に、約500メートルにわって開けた福田漁港。経営規模は小さいが、開港の歴史は江戸時代にまでさかのぼる。
 横瀬浦漁港(西彼西海町横瀬)が仏教徒の焼き打ちに遭い、ポルトガル船が安全な港を求め、1565年にたどり着いたのが福田だった。
 だが、貿易港、福田の寿命は短かった。長崎市街まで遠く、港内は狭い、との理由で1571年、貿易の舞台は長崎港へ移った。福田本町防波堤が1968年にできて以来、港内は手を加えられていない。港を利用するのは地元漁船だけ。そのためか海はブルーで、陽光を浴びる水面もまぶしい。
 地元漁船は近海漁業に従事。主にエソを捕る。水揚げした後は漁師さんが加工、市場に出すと1キロ当たり200円のエソが、1000円のちくわに化ける。自家販売され、注文分だけで売り切れるという。休漁期の2月〜5月はウニ、ワカメなどを船上から採る。
 港周辺を散策すると、すれ違う人みんなが「こんにちは」と声を掛けてくれる。港で交わすあいさつは、山歩きで初対面のハイカーが互いに交わすあいさつに似ている。福田港のいいところを見つけた。

  メ   モ  
 港までは長崎市中心部から国道202号を車で約15分。漁船登録は、福田漁業協同組合の39隻。それ以外の船が入港することはほとんどない。港の祭りにはペーロンもある。

文化百選みなと編/長崎・西彼へ戻る