茂木港   (長崎市)    


ゆとりある漁業目指す
 長崎半島東岸に南北約1.2キロにわたり開けた茂木港は、漁港の顔を持つ。狭い港内に5〜3トンクラスの小型漁船がひしめき合う。船が港を出るたび、数本の波ができ、係留された何隻もの船が揺れてこすれ合い、「ギー、ギー」と音を立てる。  5日おきにあるセリの朝は早く、慌ただしい。漁から帰った船を港の真正面に建つ茂木漁協が出迎える。船は物揚げ場に行き、魚を次々と陸に揚げる。リヤカーで漁協のセリ場へ。時計の針は午前2時を回ったばかり。3月だというのに、港に吹く風は冷たく、吐く息は白い。  漁場の橘湾〜天草諸島沿岸は、高級魚がよく上がる。底引きはヒラメ、はえ縄はフグが主流。  水揚げ高はここ十数年変わっていないという。調整漁業と稚魚の放流が効果を上げている、というのだ。「捕りすぎは、漁価を下げるし、不漁を招く」と漁協役員は口をそろえる。  年間操業日数は底引き140日、はえ縄は170日。組合員一人当たりの平均年収は約500万円。茂木の漁業は、ほかの地方で叫ばれているような後継者不足に悩んだことはないという。  昼間の港はいい。セリの朝とは対照的にゆっくり時が流れる。カモメが水面で羽を休め、空にはトンビが「ピーヒョロロ…」と鳴いて一回、二回と大きく旋回する。舳(へ)先の連なる防波堤を歩けば、潮と油のにおいが漂ってくる。「こがん、よかところは、なかもんの」。ベテラン漁師が そういうのも分かる気がする。

  メ   モ  
 長崎市中心部から田上峠を越えて車で約20分。茂木は漁業に加えてビワと野菜、花の町でもある。港に並ぶ漁協の漁船は285隻。さらに遊漁船約200隻が係留されている。港が開けて300年余り。その当時から地元の婦人らが峠を越え、築町へ魚の行商に出掛けていたという。

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