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   荒川港   (五島玉之浦町)    


船乗りたちのオアシス
 玉之浦湾の入り口付近にあたる荒川港は、昔から天然の良港として漁船の往来でにぎわった。東シナ海に面する同港は、四国や九州各地の漁船の中継基地として大正から昭和初期にかけて栄えた。
 船の性能が向上するに伴い、遠洋の漁船団は設備が整った福岡や長崎に基地を移し、昭和10年ごろ撤退した。しかし、その後も五島沖でのイカやヨコワ漁のため九州各県や四国、中国地方のまき網船団などが同港を利用している。給油所や給水所、鉄工所などがあり中継基地としては、十分な施設が整っている。12月から春先ぐらいがピークで、多いときは7、80隻の漁船が出入りする。
 玉之浦町荒川郷には五島で唯一の温泉がある。船上での生活を続ける船員たちにとって温泉は、オアシスのような存在。港が船で埋まればすぐそばにある温泉街もにぎわう。
 7月から9月にかけても多くの漁船が姿を見えるときがある。台風を避けるため、東シナ海などで漁をしている漁船が避難してくるのだ。台風が接近すると次々に漁船が現れ、入港した順に係留し、港は全国各地の漁船でいっぱいになる。台湾、中国の船も湾内に入ってくるが、外国船は係留できないため港外にいかりを下ろし、台風が過ぎ去るのを待つ。
 入港した船は万が一の場合に備え、エンジンをかけたまま係留する。このため港周辺が振動するほどのエンジン音が一日中響き渡り、慣れないと眠れないほどだという。
 地元の漁船は10隻ぐらいが母港にしているだけ。荒川港は今も昔も全国各地の漁船員たちの憩いの場として、重要な役割を果たしている。

  メ   モ  
 荒川温泉は大正3年、浜に釣りのえさをとりにきた少年が、温かい水が流れているのを見つけたのが始まりだといわれている。
 2年前から旧盆前に、港のそばで温泉まつりが始まった。町内の海産物販売や歌謡ショー、仮装パレードなどで盛り上がる。船が入っているときは船員らも繰り出し、地元の人たちと一緒に祭りを楽しむ。

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