
| 福江港 (福江市) |

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桟橋に響く蛍の光 福江港の桟橋でいくつものドラマが繰り広げられる季節が今年もめぐってきた。卒業、就職、異動・・・。人生に出会いと別れはつきものとはいえ、住み慣れた島を離れる人も、そしてそれを見送る人も思い出は尽きない。3月下旬から4月初めにかけて、島全体がセンチメンタルな気分に浸る。 福江市のカトリック系の養護施設、奥浦慈恵院の子供たち30人は、シスターの川口トセ子先生にお別れを告げにきた。川口先生は終戦間もなく慈恵院に赴任して以来、44年もの長い間、みんなのお母さん役を務めてくれたが、修道会が運営する長崎市内の病院へ転勤が決まったのだ。ここ10年は施設の炊事を一手に引き受け、今でこそ小学生は給食があるものの、毎朝弁当を作ってもらったりしてきただけに、子供たちの感謝の気持ちは、とりわけ深かった。 当日は、互いの寂しさを映しだしたような暗い曇り空。フェリーの甲板から桟橋へ、送る人と送られる人のきずなを託した頼りない紙テープが、風に舞い、幾重にも交錯する。 「せんせーい」「さよーならー」。幼い子供たちは目の前にそびえたつフェリーを首が痛くなるほど見上げながら、一生懸命、手を振った。そしてささげる祈り。周囲からは門出を祝う他グループの万歳三唱も沸き起こり、送別の儀式は最高潮に達した。 やがて聞こえる「蛍の光」の放送。きょうこの日だけは、切なく胸に迫る。別れ難い思いを引きつけ合う心の磁石にあらがって、船は少しずつ桟橋を出る。伸び切って落ちたテープが未練を残してゆらゆらと、いつまでも海面で揺れ続けた。 |
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