舞いつなぐ 第11回YOSAKOI祭り
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ダンスインストラクター
迎 秀子さん(47)
 踊り子の感動引き出す

やるならとことん

 「やるんだったら、とことんやってください。中途半端はおかしい」

 今月七日夜、佐世保市沖新町の佐世保高専であった「佐世保よかよかかっちぇる隊」の練習。迎秀子さんの声が静まり返った体育館に響いた。

 これまで計五回、大賞チームを送り出してきた。今年も前回大賞を獲得した「あっぱれ青組」をはじめ県内外九チームを担当している。

 誰でも覚えやすいシンプルな振り付けを徹底。激しい動きを織り交ぜ、踊り子の感動を引き出すことを重視している。「必死にもがいて、もがいて得られる達成感がある。だからこそ感動は生まれる」と言う。

 「ベストの踊りができた人は」。質問に約五十人の踊り子から次々と反省点が挙がった。「なぜみんな肩で息をするぐらい動いていないんだ」。涙ぐみ訴える男性。「まだまだ力は出せるはず。これで満足したくない」と自分に言い聞かせるように呼び掛ける女性。

古賀さん(中央)
「かっちぇる隊」を指導する迎さん=佐世保高専体育館
 評価を終えたチームは見違えるほどの迫力を見せた。迎さんの厳しかった表情にほほ笑みが浮かんだ。

 一九九七年から振り付けを始めた。エアロビクススタジオを経営していたことから依頼が舞い込んだ。しかし、最初からうまく指導ができたわけではない。「笑って」「ちゃんと列に並んで」。形にこだわり、踊り子の自然な感情を引き出せなかったのだ。

 転機は九九年。札幌のYOSAKOIソーラン祭りで、ひときわ目を引くチームと出合った。隊列などを決めたのは祭り前日なのに、伸びやかな手足は踊る楽しみを雄弁に語っていた。振り付けは表現のための手段にすぎないと知った。

 一方で、ダンス教室で子どもらを指導する今、戸惑いを覚えることがある。感じたことを人前で発表できず、空気を読もう、人と同じことをしようと、自分を押し殺している子どもたちの姿があるからだ。

 祭りは、誰もが個性を発揮できる場。「みんな違っていい。それがYOSAKOI」。全力を尽くした後のはじける笑顔が見たくて踊り子と向き合っている。


2008年10月22日長崎新聞掲載