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課 題  反映させたい市民の声


 一九九七年十一月、佐世保市中心部のアーケード。佐世保の「おくんち」に踊り町の上京町は「させぼ喧嘩独楽(けんかごま)」を出した。手作りの約二百キロの巨大こまを中心に据え、よさこいを取り入れた踊りを披露した。ふるさとを象徴する出し物に皆が汗を流し、観客も大いに沸いた。

 その当時のメンバーで、YOSAKOIさせぼ祭り実行委員の一人、神山秀純さん(49)は「独楽回しを見た沿道のおじいちゃんたちが相好を崩し、『懐かしくてたまらなかった』とエールを送ってくれた。うれしかった。祭りの後、感動で涙が止まらなかった」と振り返る。

 それから四年後の今年。「させぼ喧嘩独楽」の演舞は見られない。

 約五千人の踊り子を集めるようになったYOSAKOIさせぼ祭りには、資金繰り、ボランティア主体の運営方法など、課題が重くのしかかる。

本番直前に開いたYOSAKOIさせぼ祭り実行委の最終スタッフ会議。祭りの行方を左右するのは、市民の力にかかっている
 今年は、来年の市制施行百周年のPRも兼ね、市から千百万円の補助を受けた。来年までは「行政支援」が見込めるが、問題はその後。

 同実行委は、昨年から自主財源確保のためYOSAKOIをPRするバッジや広報紙を販売。今年は企業協賛を募る「公式スポンサー制度」を新設し、今後の資金調達に乗り出した。

 今回は無料席以外に、させぼ祭り振興会と連携し、主会場の名切お祭り広場に有料の観覧スタンド約八百席を設ける。身銭を切ってでも、YOSAKOIを見たい人はどのくらいいるのだろうか。市民や観光客の入りは、この祭りの将来を占うバロメーターにもなる。

 今、求められているのは、まね事ではない「佐世保らしさ」をいかに取り入れるかだ。上京町の「させぼ喧嘩独楽」は、その好例かもしれない。祭りが好調な時こそ、原点に返る勇気も必要だ。

 市民はふるさとの「祭り」をどう考えているのか。課題は、市民の声をいかに祭りの在り方や運営手法に反映させられるかだ。祭りの行方を左右するのは、市民の力にかかっている。

 さまざまな課題を包含しながら、YOSAKOIさせぼ祭りは三日、開幕する。
(11月3日掲載)


前項