□5・完□
傘鉾中川組
今籠町の黒子に徹し
「チーン、チーン」という鈴(りん)の音とともにひたすら歩く。約130キロもあるという傘鉾(かさぼこ)の持ち手が、長崎市内のけいこ場で黙々と練習に励んでいた。
持ち手は、約80年の歴史をもつ「長崎くんち傘鉾中川組」のメンバー。祖父の代から中川組を受け継ぐ棟梁(とうりょう)の中川禎浩さん(47)=同市柳谷町=はことし、今籠町の傘鉾を持つ。「(傘鉾を)軽く持ってしまってはその町が軽く見られる。より重く見せるのが重要」と話す。
踊り場に初めに入ってくる傘鉾は、入場して据えられるまでは、町の役員であっても前に出てはいけないというほど神聖なもの。中川さんは「良い神様に乗ってもらえるようにするのが、自分たちの仕事」と力を込める。
傘鉾のけいこに励む中川組のメンバー=長崎市柳谷町
中川さんによると、諏訪神社(同市上西山町)の踊り場に入った傘鉾には、八百万(やおよろず)の神が乗る。その神が乗った傘鉾を町に持ち帰ることで、無病息災などの御利益が町にもたらされるという。より良い神を連れて帰るようにするのが重要な仕事なのだそうだ。
お盆明けから始まった練習は週に3回。練習用の傘鉾を使って約2時間、「練り足」「すり足」「ちょこばしり」という3種類の歩き方や、回る練習などをひたすら続ける。
「町そのもの」という傘鉾を支える縁の下の力持ち。「あくまで自分たちは黒子。『中川組の傘鉾は良かった』と言われるより『今籠町の傘鉾は良かった』と言われる方がうれしい」と笑顔を見せた。
2009年10月7日長崎新聞掲載
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