まちは躍る、秋を彩る 2008長崎くんち
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川船(榎津町)

 船頭役の今村竜大君



「全部捕りたい」と意欲

 船首に立ち、息を静めて魚を探す船頭。勢いよく網を投げて魚を生け捕る。川船の呼び物、船頭による「網打ち」。今年、その大役を担うのは、今村竜大君(8つ)=市立諏訪小三年=。「魚は全部捕りたい」と意気込み十分だ。

 その昔、中島川沿いにあったという榎津町。長崎くんちでは、急流に翻弄(ほんろう)されながら漁をする様子を描いた川船を毎回奉納している。

 「重たい。うまくできるかな」。六月末、町内の練習小屋。初めて網を手に取った。えんじ色の網は重さ約一キロ。網のサイズは竜大君の体よりも大きい。早速投げてみたが、重さでしっかり網を持つことができず網も開かなかった。

 くんち中心の夏が始まった。夜の練習に加え、朝も練習に足しげく通った。「川に泳いでいる魚を思い浮かべ、狙いを定めて思い切り投げる」。イメージを描いて網を打つ回数は一日二十回を超えた。次第に重さにも慣れ、投げ方のコツをつかんでいった。練習では、その日に捕れた魚の数を小屋の黒板に記録。初めは五十匹ほどだったが、九月に入ってからは百匹を超えるまでになった。「全部捕れたらうれしい」と愛嬌(あいきょう)たっぷり。

 船首に立ち網を打つ竜大君の足を支えるのは、根曳(ねびき)の一人でもある父、昌宏さん(40)。網打ちの時、足の位置やひじの高さなどを小声でアドバイスするという。成功すると目を合わせてにやりと笑う。「一緒に打っている感じがする」と昌宏さん。

 「本番は練習の成果を堂々と出してほしい」。息子の“晴れ姿”を一番近くで見守るであろう父は、そう期待を込める。

【編注】いまむら・たつひろ
2008年9月30日長崎新聞掲載