まちは躍る、秋を彩る 2008長崎くんち
<2>


詩舞、曳壇尻(新大工町)

 長采添根曳の福田康昭さん



豪快「引き回し」を指揮

 「五十年間、壇尻(だんじり)と共に生きてきた」。福田康昭さん(51)が先曳(さきびき)としてくんちに初参加したのは二歳の時。七回目の出演となる今回、初めて総監督にあたる長采添根曳(ながざいそえねびき)として、壇尻の先頭に立って采を振る。

 白木の鳥居、白シカ、モミジ…。奈良・春日大社の情景を配した曳壇尻を奉納する新大工町。壇尻とは、祭礼で飾り物を付け、はやしを奏でながら引き歩く山車のことだ。

 「ハァー、ヨーイヤサッ」。根曳衆の勇ましい掛け声と、子どもたちのはやしに合わせ、壇尻が踊り馬場で急回転する。

 壇尻の最大の見せ場は、前後の動きからの豪快な「引き回し」五回転半。二十人の根曳衆が、声を張り上げ、汗を飛ばし、力の限り重さ三トンの壇尻を回す。

 長采添根曳に決まったのは昨年十一月。「全体を指揮する大役。自分のやり方次第で善しあしが決まる」。緊張で身震いした。

 壇尻を使った練習が始まると「これまで以上の壇尻を目指したい」と理想の形を追い求めた。「踊り馬場の中央で、真っすぐに軸を保ったまま引き回し、正面をとらえてぴたっと止める」。頭の中で描けても実際にはなかなか決まらない。練習後は皆でその日の録画をチェック。根曳の動きや壇尻を止めるタイミングなど遅くまで話し合った。根曳の配置も何度も変えた。反発もあったが「最高の壇尻を全員でつくり上げたいんだ」と腹を割って話し合った。

 厳しい練習のかいあって、仕上がりは順調だ。「踊り馬場の真ん中で、美しく回る曳壇尻を披露し、観客を沸かせたい」。福田さんの表情には自信がみなぎる。

【編注】ふくだ・やすあき
2008年9月27日長崎新聞掲載