親子2代でシャギリ共演 戸石班・上戸一幸さん、哲也さん


一幸さん(右)と哲也さん
長崎くんちに向け練習に励む一幸さん(右)と哲也さん=長崎市上戸石町
 長崎くんちに欠かせないシャギリ。長崎伝統の笛や太鼓は、東長崎地区の六つのプロ集団が奏でている。今年のくんちに出場するある親子を紹介する。

 九月二十七日、長崎市上戸石町。戸石班の頭領、上戸一幸さん(65)が仲間を見渡し、「よかやっ」と合図を出した。一斉に鳴り響く甲高い笛の音と小気味よい太鼓。くんちを前にした戸石班の練習で、太鼓をたたく一幸さんの隣に座る長男の哲也さん(29)は、父の奏でる太鼓のリズムに合わせ、高らかに笛を鳴り響かせた。

 頭領の父を持つ哲也さんにとって、シャギリは幼いころから身近な存在。「いつか自分が継がなければ」との思いはあった。しかし、シャギリに興味が持てず、人前に出るのも苦手で、二十八歳になるまで笛を手にすることはなかった。一幸さんも、「自分もシャギリをしていた父親が死ぬまで、興味がなかった」と、積極的に勧めなかった。

 きっかけは昨年二月。哲也さんは親しい二人の先輩がシャギリを始めたのを知った。加えて親せきに誘われ、「始めるなら今しかない」と決心。それから毎日、笛を握った。

 近所に迷惑を掛けないよう、人けのない墓地や山奥に車を走らせ、ひたすら練習を重ねた。そのかいあって腕前はみるみる上達し、昨年の長崎くんちでデビュー。「手が震え、着物の衣装が変わるくらい汗をかいた」というほど緊張したが、一幸さんと一緒に、奉納踊りの幕あいに奏でる「諏訪入り」や庭先回りで披露する「道中」を精いっぱい演奏した。

 今年のくんちで戸石班は新大工町を担当。くんちに向けての練習は、三月ごろから月二回程度だが、出場者はそれぞれ、毎日のように個人練習に励んだ。哲也さんは「踊り町でも七年に一度しか出られないくんち。毎年出場できて幸せ。今年もやってやる」。一幸さんは「親子でまたくんちに出られるとは、夢のよう。プロとしてしっかり務めたい」と意気込みを語った。

2008年10月7日長崎新聞掲載

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