
|
<4>
|
「炭鉱があったときは幸せだったと皆、実感してるんじゃないかな」。池島で雇用・能力開発機構の炭鉱離職者援護相談員をする尾崎政治さん(41)はつぶやく。閉山時は松島炭鉱労組の組織労働部長。組合を代表して井手口二郎組合長代行(54)らとともに会社側との交渉に当たった。
閉山後は同相談員として元炭鉱員の再就職や職業訓練、雇用促進住宅などの相談業務をしている。長崎労働局によると、炭鉱離職者千二百十二人のうち、十月末時点で再就職したのは二百七十九人にすぎない。このうち約百人は池島での炭鉱技術移転五カ年計画に従事している。

| |
新人戦に向け柔道部員を指導する尾崎政治さん=西彼外海町池島
|
雇用保険が切れても炭鉱離職者求職手帳(黒手帳)所持者には三年間、就職促進手当が支給される。求人があっても促進手当より低い給与のところもある。一度、就職すると黒手帳は切れるので、踏ん切りがつかない元炭鉱員は多いという。尾崎さんは「将来のことを考えるといつまでも池島にいてもしょうがない。家族のためにも早く就職するようアドバイスしているんだが」と話す。
元直轄社員はほとんどが島を出た。再就職できずに残っているのは協力会社(下請け)の元従業員。引っ越し費用もなく、島に居続ける人もいる。「景気はどん底。仕事がないのも現実だ」
尾崎さんは十六年間、組合幹部を務めた。25%の賃金削減や閉山時の闘争では、組合員から激しく突き上げられた。閉山交渉では満額回答を勝ち取ったが「よくやってくれた、と言う人は十人に一人だった」。だが、炭鉱存続のために無理な要求にも理解を示してくれた組合員には感謝しているという。
今年四月、池島中に柔道部ができた。閉山時百四十九人だった生徒数は十九人に減少。サッカーや野球といったスポーツができなくなり、生徒たちの要望で発足した。部員は二年生五人。柔道四段の尾崎さんは迷わず監督を引き受けた。
来月八日、長崎市で開かれる県中学校柔道競技新人戦に向けて部員たちは連日、練習に汗を流している。生徒たちに「池島は元気で頑張っとるぞというところを見せてやれ」とハッパを掛ける。大会まで十日。「子どもたちの頑張る姿が元炭鉱員たちの励みになれば」と、尾崎さんは思う。
(2002年月11月28日掲載)
|
|

|
|