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下請け鉱員 多くが再出発はまだ

 「下請けの鉱員たちは引っ越しをする金もないんだ」。池島炭鉱を経営した松島炭鉱(本社福岡市)の協力会社に勤めていた元鉱員、田中章さん(52)は怒りを込めて話した。閉山から四カ月になるが、まだ再出発に踏み出せないでいる。

 池島で働き始めたのは昨年三月。一昨年二月に発生した坑内火災で約三カ月の操業停止に追い込まれ、影響が懸念されていたころ。長期存続できるかどうか不安だったが、松島炭鉱の社員から聞いた「(海外に炭鉱技術を移す国の事業)海外技術移転五カ年計画もあるから大丈夫」という言葉を信じて決心した。


「下請け鉱員はほったらかしだ」と言う田中さんたちの闘いはまだ続く=西彼外海町池島
 仕事は坑内の最前線で坑道を掘り進む掘進作業。妻(27)と幼い子ども二人のためにと、懸命に働いた。だが昨年十一月末の突然の閉山。勤務年数が一年に満たなかったため、雇用保険と就職促進手当を離職後三年間にわたり受けられる炭鉱離職者求職手帳(黒手帳)はもらえなかった。数少ない救済措置となった雇用保険の受給も来月で終わる。

 閉山後の協力会社の対応には腹が立った。「従業員をほったらかしにしている」。救済措置を求めて松島炭鉱本社と直談判。その効果があったのかどうか分からないが、交渉に応じた協力会社から数十万円の離職金を何とか受け取ることができた。だが、まだ不十分と考え、同じような気持ちでいる同僚とともに残業手当や公休未消化分の補償を求め、協力会社を相手に訴訟を起こす準備を進めている。

 元下請け鉱員の中には、田中さんが受けたような離職金すら支給されなかった人もいる。別の協力会社で働いていた男性(48)も、働き始めてから八カ月で閉山を迎えた。今は給料の約六割の額しかない雇用保険だけで家族を養う苦しい日々。「お先真っ暗だよ」

 雇用保険の支給期間が終わった元鉱員には、再就職に向け高いハードルも立ちはだかる。職業訓練の受講要件だ。国などが実施する訓練を受けるには雇用保険を受給していなければならない。離島やへき地生活者を対象にした特例措置が適用される可能性はあるが、来月で雇用保険がなくなる元下請け鉱員の男性(54)は職業訓練を受けられるか分からないと言う。「雇用保険をもらっている人が優先して職業訓練を受けられるのはおかしい」。不満を募らせる。

 新たな生活に向け再出発した元炭鉱マンたちもいる。だが多くの元下請け鉱員たちがまだ立ち上がれずにいる。
(2002年月3月28日掲載)


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