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唐突提案に対策手つかず
「町はかつてない試練を迎えました…」
十二日、閉山提案を受けて設置した西彼外海町閉山対策本部の席上、山道幸雄町長は一様に厳しい表情の職員たちを前にこう切り出した。
「閉山が唐突に五年も早まった」。町幹部が途方に暮れる。池島炭鉱は、国策の炭鉱技術移転五カ年計画の拠点として、二〇〇六年度まで存続するはずだった。会社側も提案の直前までそう主張し続けていた。
一転、閉山を見越した町の「あらかじめ対策」は手つかずのままで、最悪の事態を迎えようとしている。
二〇〇〇年度の町一般会計予算総額は四十五億四千八百万円。うち四億九千万円を町税収で賄った。炭鉱関連税収は町税収の47%の二億三千万円。東満敏助役は「財政破たんの心配はないが、大口の自主財源を失うのは痛い」と言う。
人口流出による活力低下も深刻。周囲四キロの小さな池島には町人口の33%の二千三百四十人が集中する。うち六十五歳以上の高齢者はわずか百九十六人。過疎の町にあって、働き盛りの男性が多い特異な地域だ。
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池島炭鉱所有の発電機。閉山後も島の「心臓」が動き続ける保証はない=西彼外海町池島
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同町では昨年までに、誘致した二つの縫製工場が撤退した。現状では炭鉱に代わる働き場がなく、「今の時世に企業誘致は困難」(東助役)とあっては人口流出が避けられない。東助役は「炭鉱がなくなっても町はさびれさせない」と力説するが、その“処方せん”は今のところ、だれも持っていない。
池島の玄関口、池島港のそばに炭鉱所有の巨大な発電機がそびえ立つ。坑内作業用と一般家庭に電気を送り、一日に二千六百五十トンの真水を島内に供給する海水淡水化装置も動かす。まさに島の「心臓」だ。
運営費は年間約十七億円。経営難に苦しむ池島炭鉱は九八年十二月の定例町議会に、「今後の水道運営は困難」として町の支援を求める請願を提出し、採択された。炭鉱の担当者は「閉山が近い。対策を急いでほしい」と言う。
会社が示した閉山提案通りなら、島唯一の医療機関、池島鉱業所病院も十一月末で閉鎖される。内科や外科などを備えた総合病院で、住民の暮らしを支えてきた。
山道町長は「炭鉱に池島の社会基盤を頼ってきた認識は改めていきたい」と言うが、水道の整備や病院の設置・運営は小さな町だけで簡単に対応できる問題ではない。町長は「国や県と相談し、めどが立つまでは従来通りで運営してほしい」と炭鉱に要望する考えだ。
池島炭鉱を経営する松島炭鉱(本社福岡市)の累積損失は百億円に達する。同社は炭鉱の残務整理後に清算されるのは確実で、時間はそう多く残されていない。「会社は町の要望に良心的に対応してくれるはず」という山道町長の言葉は、祈りにも聞こえる。
(10月18日掲載)
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