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年度末には消える「保護」
「国策がなくなる。(石炭の)内外価格差も非常に厳しい。来年度以降になっても好転する見込みがない。石油のように炭価が上がれば別だが」。池島炭鉱を経営する松島炭鉱(福岡市)の親会社、三井松島産業(同)の多河喜史社長は、閉山提案へ至った理由を話す。
火災、出水と相次ぐ事故が池島炭鉱の存続にダメージを与えた。しかし、国による石炭政策が本年度末で切れることが、会社側が閉山提案を決断した大きな要因であったことは間違いない。
赤字決算を続けている松島炭鉱だが、年間出炭量百二十万トンを維持していた一九九七年度は、四千七百万円の経常利益を出している。だが、黒字決算は国の保護がなければあり得ない。同年度は計約十八億円の助成を国から受けた。
国内炭は価格面での優遇もある。現在、一トン当たり約一万三千円で電力会社が引き取っているが、価格は輸入炭の約三倍。鉄鋼やセメント業界などが国内炭の引き取りをやめる中、電力業界は引き取りを続けてきた。
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取り巻く環境が厳しさを増す中、ついに閉山提案がされた池島炭鉱=西彼外海町
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その電力業界も電力事業の一部自由化により、競争が激化、二〇〇六年度末までに輸入炭並みの価格引き下げを要求した。九州電力幹部は「石炭は石炭六法によって守られてきた。一方で電力の規制緩和も叫ばれるようになった。そうした中での国内炭受け入れは負担になっている」と話す。
石炭政策が終われば、従業員一人につき最高八百万円まで退職金を国が負担する閉山交付金や、最長三年間の失業給付が受けられる炭鉱離職者求職手帳(黒手帳)などもなくなる。石炭産業を取り巻く環境は厳しさを増していた。
石炭産業の衰退と対照的に国内の石炭需要は年々増加。九九年度は約一億三千九百万トンに達している。三井松島産業も六カ国で炭鉱開発に乗り出している。炭鉱技術に詳しい九州大学工学部の内野健一教授は「国内炭鉱がなくなっても、海外炭で手当はできる」と説明する。
その一方で、「石炭を掘るには開発から採炭、選炭、保安などあらゆる技術が必要。海外で開発する場合、技術がなければ、十年掘る計画で投資したら一年間しか掘れなかったというケースもあり得る」と技術の損失を危ぐ。「経済原則だけにとらわれず、貴重な技術資源、知的資源を今後どうすべきかということを今回の閉山問題は投げ掛けている」と指摘する。
国内では太平洋炭砿(北海道釧路市)が残り、池島でも炭鉱技術移転五カ年計画は実施される見通しだが、計画が終了する〇七年度以降、国内炭鉱が存続する可能性は極めて低い。「閉山して退職金をもらった方がいい」。定年間近の鉱員の言葉は、国策とともに消え去ろうとしている国内炭鉱の現状を映し出す。(10月14日掲載)
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